読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

りつこの読書と落語メモ

はてなダイアリーからブログに移行しました。

えどはく寄席

7/23(土)、江戸東京博物館で行われた「えどはく寄席」15時の回に行ってきた。

・南玉 江戸曲独楽
・南なん「千両みかん」

南玉先生 江戸曲独楽
何度も見ているけれど、こんなに近くで(ほんとに目の前!)見たことはなかったので、見入ってしまった。五感のすべてを研ぎ澄まさせてものすごい集中力でやられているのが伝わってきて思わずこちらも息を止めてしまう。素晴らしい芸。

南なん師匠「千両みかん」
普段からいろいろネタを探しています、という南なん師匠。以前怖い映画を見たんですが今でも時々それを思い出すとぞっとします。
悪党が家に忍び込んでいてそこの夫婦を縛り上げる。そして狂犬病にかかった犬をロープでつないでそのロープの近くに蝋燭を置いている。蝋燭が徐々に溶けていくとその熱でロープが切れて狂犬が襲ってくる。そんな仕掛けをして悪党は出て行ってしまった。
縛られた奥さんの方が旦那に向かって「ねぇ!なんとかしてよ!」。
「いや…なんとかしろと言われても…」
「だったら何か歌でも歌って!」
「そんな気分じゃないよ。でも…わかったよ。歌うよ。♪ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデートゥーユー、ハッピバースデーディアわんちゃんー、ハッピバースデートゥーユー♪」
すると犬が思わず蝋燭をふっと消す。

もうこの犬が顔を横に向けて蝋燭をふっと消した姿がたまらなくおかしくて笑った笑った。いつまでもおかしくて、いまも思い出すと笑ってしまう。多分あのおかしさは前の方に座ってないとわからなかったかもしれないけど、もうこれが見られただけで来た甲斐があったなぁ。

そんなまくらから「千両みかん」。
南なん師匠の「千両みかん」はこれで三回目なのだが、やはり大きなざわざわした会場ということで、前に見た時よりわかりやすくやられていて、お客さんや会場でやりようが変わるんだなぁ。それをものすごい近くで見られる幸せ。

若旦那から話を聞いててっきり女の子だと思い込んだ番頭が「つやつやした?」「かおりのいい?」とにやにやするのがかわいい。
みかんを求めてあっちの八百屋こっちの八百屋と走り回る番頭が「みかんありますか?」と聞く言い方によって相手の答え方も変わってくる。最後に店先で倒れ込みながら「みかんあります?」「ないよ!…うちはあらものやだからね!」。

みかん問屋にたどりついて蔵をあけるシーンでは大きな蔵が目の前に見えてきて、涼しい風がこちらにも吹いてくるよう…。

若旦那にみかんを届けた番頭が心の底から若旦那が元気になったことを喜んでいて、そこからわが身を振り返って虚しくなるところが、なんか身につまされておかし悲しい。

オープンなスペースでお客さんは満員だけれど子どもも多くておそらくほとんどが初めて落語を聞くお客さん、というなかなかアウェイな環境。そこで「千両みかん」という地味な噺をやってしまう南なん師匠が大好きだ。