りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

林家きく麿独演会第十五夜『もうすぐ誕生日』

7/13(水)、道楽亭で行われた「林家きく麿独演会第十五夜『もうすぐ誕生日』」に行ってきた。

久しぶりのきく麿師匠。
最近行けていなかったのだけれど、お誕生日の前々々夜祭に行けてよかった!打ち上げも出られてハッピー♪

・きく麿「大山の印」
・きく麿「守護霊」
~仲入り~
・きく麿「千両みかん」

「大山の印」
地元福岡の高校に学校寄席で行ってきたというきく麿師匠。
その高校は自分が学生の頃は「ヤバイ」と評判の学校で、学生たちはパンチパーマや剃り込みを入れ、その学校の生徒が乗る車両に女子は絶対に乗ってはいけない(危ないから)とも言われていた。
そんなところで落語?無理でしょと思い断ると、世話人の人が「いや、いまはそんなでもないですよ。大丈夫です」という。
ほんとですか?だったら…と引きうけたのだが、自分以外は全員上方の落語家さんということで「きく麿師匠だけが頼りですから」と言われる。
いや頼りにされても…。

いざ高座にあがり、まずは軽い小噺から。
たいてい小噺だと、クスっという笑いがおきればいいほうでたいていはしら~っとなるものなのだが、彼らは予想の上をいっていた。
小噺をやると学生たちがみな「うぇ~い!」。
なんなんだこの反応は!!なんか怖い。でも何も反応がないよりはいい?と思いながら、いくつか小噺をやると「うぇ~い!!」。
しかしいざ落語に入ってみるとやはりつまらないのか寝たりおしゃべりをする学生が続出。
あーやっぱりねーと思いながらもこれで終わらせるわけにはいかん!と思い、落語の途中に意味もなく登場人物に「うぇ~い!」と言わせてみると、それまで無反応だった学生が途端に「うぇ~い!!」。
それからはもう「うぇ~い!!」を連発。
大盛り上がりのうちに高座は終わった。
あとで校長先生がやってきて「いやぁ学生があんなにちゃんと落語を聞くとは思いませんでした」とほめられたのだが、いや…それはちょっと違う…と思った、と。

ぶわははは。
もうおかしすぎる。にこにこ顔でポーズをとって「うぇ~い!!」とやるきく麿師匠を思い出すと、つらい時でも笑いがこぼれてしまうよ。素敵すぎる。

そんなまくらから「大山の印」。
これはきく麿師匠が住んでいる三軒茶屋にちなんだ落語をと思い、作った新作らしい。

三軒茶屋という名前になった由来はそのころお茶屋が三軒あったからなのだが、そのうちの一軒におためちゃんという美人のお茶子さんがいて、村の男たちはみなおためちゃんに夢中。彼女見たさにお茶屋に通い仕事が手につかない。
一方他の二軒のお茶屋はお客が来なくなって閑古鳥。
これじゃいかん、三軒の茶屋でこの地域を盛り上げていかなければということで三軒が集まって相談をし、雨乞いに行く若い衆たちがまんべんなく三軒のお茶屋に寄って行くように、スタンプカードをこしらえる。
この三軒のお茶屋のスタンプを全部で12個集めると、おためちゃんと差し向かいでご飯が食べられる権利を与えるというもの。
おためちゃん命の男たちは躍起になってスタンプを集め、三軒のお茶屋は繁盛するのだが、おためちゃんが嫌がって…。

最初の場面で、おためちゃんに夢中になって切なくため息をつく男が出てくるのだが、この男がどれほどおためちゃんに夢中なのかが伝わってくるので、直接おためちゃんの出てくる場面はないのに、ものすごくきれいでかわいいんだろうな、というのが想像できる。
お茶屋さんがこの地域を盛り上げようとあれこれ話し合う場面もばかばかしいエピソードがちりばめられていてなんともいえず楽しい
ちょっと昔話っぽくもあって独特な味わいがあって面白かった。

「守護霊」
最近お姉さんが仕事を作ってくれるようになった。仕事で帰って実家に泊まると夜はお姉さんと二人いろいろ話すのだが、お姉さんの子ども二人はこの会話を聞くのが好きらしく混ざってくる。
そんな時、3人が全員揃って義兄の悪口を言いだすので、「まぁまぁまぁ」とかばうのが大変。
でもきょうだいっていうのは喧嘩してもすぐに仲直りできるから…とまくらをしゃべりながら突然目をつぶって「もにゃもにゃもにゃもにゃもにゃ…」。
え?と思ってるとまた「もにゃもにゃもにゃもにゃもにゃ」

ああ、これは!「守護霊」!
すごい面白い、この入り方!
前はそうじゃなかったよねと自分のブログを検索したら、前に見たのはネタ卸しのときだった。
噺が育ってる!

もうとにかく小学6年生のお兄ちゃんと弟(小学校の低学年ぐらい?)のケンカがかわいい。
兄が弟に向かって「死にますーおまえ死にますー。はい、死亡ー。死亡ー」、言われた弟が「バーカバーカバーカ」しか言えなくなるのがもうおかしくておかしくて。
きく麿師匠の中にはまだしょうもない小学生男子が残ってるんだなぁ。
うるさい!と言って入ってきたお父さんが、息子たちの話を話半分で聞いているのがまたリアル。

弟が将来はホテルを経営したいという夢を持っていてそのホテルのCMソングがいかにもありそうなのがおかしい。
仲入りの時に「あたし、ホテルニュー相模に泊まりたい!」と一緒に行った友達がまじめな顔で言うのがおかしかった。

「千両みかん」
最後は何をやるのかと思っていたらなんと「千両みかん」!
これが意外にも(失礼!)ちゃんとした「千両みかん」なんだけど、ところどころにきく麿テイストが盛り込まれていてとても楽しい。
ちゃんとやっているのに時々不意打ちでギャグが入るので、ぶわはっ!!と笑ってしまう。

若旦那がみかんを食べるところが本当においしそうで私もみかんを食べたくなったぞ!

この日は打ち上げも参加して、きく麿師匠の誕生日をお祝いできてうれしかったー。
ようやくDVDも買うことができて満足満足。

 

 

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