りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

天使の運命

 

天使の運命 下

天使の運命 下

 

 ★★★★

最後の5行まで先が読めない面白さ! 次々と襲いかかる試練をのりこえ、主人公はみずからの運命を切り拓けるのか? 傑作中の傑作。 

 

読書不調なので何かとっておきの本を読もうということで、イサベル・アジェンデの「天使の運命」。なぜかamazonに上巻の書影がなかった。絶版なんだろうか。

まるでハーレクインロマンスのような表紙だけどイサベル・アジェンデなのだ。イサベル・アジェンデだけどハーレクインロマンスのような風味もあるのだ、確かに。

輸出業で財をなしたイギリス人の商家ソマーズ家。チリに立派な屋敷を構えるが、家の前にある日捨て子が置いて行かれる。
当主ジェレミーは乗り気ではないが、妹のローズは赤ん坊に夢中になり自分が育てると言い張る。
妹に弱いジェレミーは結局は彼女の意向をくんで、この子をエルサと名付けて育てることになる。
ソマーズ家には船乗りをしているジョンという弟もいて、厳格なジェレミー、淑女として育てようと気まぐれな愛を注ぐローズ、破天荒なジョンのもと、エルサは育つ。

屋敷にはママ・フレシアという家政婦兼料理人がいて、エルサはフレシアの薬草の知識や料理やおしゃべりを吸収していく。

お嬢様として大切に育てられていたエルサだったが、ある日屋敷にジェレミーの会社に勤める貧しい青年ホアキン・アンディエタが訪れたことで、運命が変わる。
初恋の炎に燃やされすべてをなげうって彼に身を任せてしまうのである。

ソマーズ家の慣習や体面に縛られてがんじがらめになっていたエリサが家を飛び出し紆余曲折を経て自分自身を見出だしていく。
それに一役買うのが中国人の伝統医師であるタオ・チェン。この人物がまた一風変わっていてものすごく魅力的。

再会したタオ・チェンとのエピソードはまるでハーレクィンロマンスのよう…。ちょっとお安く思えるところがなくはなかったが、それも含めて楽しい読書だった。
アジェンデってこんなだったっけ?他の作品も読んでみよう。