りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小三治独演会 板橋区立文化会館

6/7(火)、板橋区立文化会館で行われた小三治独演会に行ってきた。

・こみち「武助馬」
小三治「一眼国」
~仲入り~
小三治「青菜」

こみちさん「武助馬」
私、これでも今のこの状態がフルメイクです、とこみちさん。
舞台に上がる時に小三治師匠のマネージャーさんから言われた。
「それでいいんですか?」
こみちさんが「大丈夫です」とこたえると、小三治師匠が「もう少しなんとかしろ」。
わははは。

たっぷりのまくらから「武助馬」。
開口一番で「武助馬」には驚いた。チャレンジング!
ちょっと噺が地味なのかな。笑いが少なめでドキドキしてしまった。

小三治師匠「一眼国」
ヘビ女が引退するそうです、と小三治師匠。
それから花園神社でヘビ女の出し物を見た時の話。
看板には着物を着た女性の首がながーく伸びていて、まぁ作り物なんだろうけどな、でももしかして…という気持ちで眺めていると、受付のところに女性がいて顔がふらふら揺れている。
あそこにいるのがヘビ女?と思わず誘われて入ってみたのだが、なんのことはない。受付に女が座っていて足がしびれるもんだからふらふら揺れてただけだった。

30人ぐらい入ればいっぱいの小屋に座って待っていると、男と子犬が出てきて、男が輪をかまえると子犬がぴょんっと通り抜ける。
それを何度か繰り返すのだが面白くもなんともない。
次に出てきたのが女。こいつの首が伸びるのかと思って見ていると、気が付かなかったのだがいつのまにか下に泥のついた大根やゴボウ、白菜が置いてある。
女はおもむろに大根を手に取ったかと思うと、力任せにがばっと大根を割り、いきなりバリバリ食べだした!
次にごぼうを拾い上げてぼきっと割ってぼりぼり。
それから白菜を拾い上げてばりばり。
いつ首が伸びるのかと思っているうちに、いつのまにか出口のところに大きな男が立っていて「お帰りはこちら」。

ええええ?ヘビ女はどうした?と思って文句の一つも言ってやろうかと思ったけど、その男が丸太棒みたいに首が太くて両腕に刺青をしていて、こういう人に面と向かって文句は言わない方がいいな、と思って黙って出てきた。
出てきた他の客を見ると自分と同じ顔をしていた。
どんな顔ってこんな顔、と頬をぷーっと膨らませる。

次の年にもやはりヘビ女の出し物があった。
あの時はもしかすると風邪だったのかもしれないしなと思い入って見た。
すると女が紐をクビにだらっと下げて出てきて、あれがヘビだと言いたいんでしょう。
なんかこんなふうに…動いてる風に…こうくねくね動かす。
ただそれだけでした。

…ぶわはははは。
もう面白すぎる。見世物小屋のまくらだったので、一眼国だなとちょっとがっかりしたのだけれど、このまくらが楽しかったのでそれで満足だなー。

噺の方はちょっともやもやめ。
でもまくらが効いていて、全体にいかがわしさがにじんでいて、不思議な味わいがあった。

小三治師匠「青菜」
舞台に上がるなり「ちょっと休ませてもらいます」と言ってお茶を飲んで「…休憩で今まで散々休んできたんですけどね」。
それからいきなり「植木屋さん、ご精が出ますね」と「青菜」。
今年は青菜の当たり年だなー。

途中ちょっともやもやしてドキドキしたけど、でもなんだろう、時々出てくるセリフがものすごく面白い。
巧まず自然に出てきた言葉や表情が楽しいのだ。
それが小三治師匠の落語の面白さだなぁ、と思う。