りつこの読書と落語メモ

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琥珀のまたたき

琥珀のまたたき

琥珀のまたたき

★★★★

妹を亡くした三きょうだいは、ママと一緒にパパが残した古い別荘に移り住む。そこで彼らはオパール琥珀・瑪瑙という新しい名前を手に入れた。閉ざされた家のなか、三人だけで独自に編み出した遊びに興じるうち、琥珀の左目にある異変が生じる。それはやがて、亡き妹と家族を不思議なかたちで結びつけるのだが…。

化石のなかに閉じ込められた虫のように、母は子どもたちを透明できれいな石のなかにそのまま閉じ込めておきたかったのかもしれない。

外界から遮断された子どもたちは、取り残された図鑑を広げひそひそ声で喋り母を気遣い3人肩を寄せあって暮らす。
普通に考えたらなんとも痛ましい状況なのだが、童話的な美しい描写がなぜかそれを感じさせない。
子どもたちが3人並んでベッドで眠る光景などは「これ以上完璧な世界はない」とさえ思える。

私たちの生活から余計なものを全て取り除いてそぎ落としていったらもしかするとこんな暮らしになるのかもしれない。
異常だけれど不幸ではない彼らの暮らし。
そんな日々が続くわけがないだろうと予測はしていたけれど、終わりは突然で美しい暮らしを真っ二つにされてしまったような悲しさが残る。

図鑑の中から走り出てきて母を優しく撫でる妹の姿が頭から離れない。