りつこの読書と落語メモ

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スクラップ・アンド・ビルド

スクラップ・アンド・ビルド

スクラップ・アンド・ビルド

★★★★

「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。日々の筋トレ、転職活動。肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して…。閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!第153回芥川賞受賞作。

ワカモノにありがちな極端にシンプルな思考(こんなんじゃ生きていても仕方ないし本人も早くお迎えが来てほしいと言ってるのだから死なせてやろう)に、えもいわれぬ不安と不快を感じながらも、ギリギリのところで思わずぷっと吹き出してしまうようなユーモアがあって、何だかんだ夢中で読んでしまった。

職を失って再就職もままならない身としては「働いている母のかわりに祖父の介護をする」というのは家でごろごろしていることの言い訳になるし、衰えていく祖父を反面教師に徹底的に自分の肉体を鍛え上げることで自堕落に陥りそうな自分のストッパーにもなっている。
なんだこいつは自分のことしか考えてないじゃないかとも思うけれど、それを非難することはできないよなぁ…とも思う。

読み終わって、あんまり好きじゃないのか案外好きだったのか自分でもよく分からない。
でも介護をとてもリアルに描いた作品だと思う。

結局は自分の状態で捉え方は左右されるしあらゆることがらを私たちは自分の目線でしかはかれないのだ。