りつこの読書と落語メモ

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生まれるためのガイドブック

生まれるためのガイドブック (エクス・リブリス)

生まれるためのガイドブック (エクス・リブリス)

★★★★

「誕生」「妊娠」「受胎」「愛」を主題に、思いもよらない出来事に遭遇してとまどう人々を温かい筆致で描く。米国で大絶賛の新星による、チャーミングな傑作短篇集!

なるほどエイミーベンダー絶賛。
生まれる、産むというテーマで編まれた短編集。
でも決して妊娠小説(!)ではなく、むしろ大人になりきれない人たちが身動きが取れず立ち尽くしてるような作品が目立つ。

「ポピーシード」
重度の障害を持って生まれてきた娘ポピーは8歳。
思春期にさしかかり身体が徐々に大人になってくるものの、自分で動くことも食べることもできない娘。体重も増え世話をするのも重労働。
医者からは「おとなのからだになるための種」を取り除けば成長を止めることができる、と言われ、手術を受けることになるのだが…。

普通の子どもではありえない娘への愛と苦しみに引き裂かれそうになる夫婦。徐々に「女」の身体に変化していく娘への戸惑いが非常にリアルで読んでいて苦しい。
追い詰められ困り果てる夫婦ははたから見ているとまるで子供に見える。
自分たちはまだ子供なのに決定を下さなければならなくてすべての責任を負わなければいけなくてその決定が娘の今後を決定づけてしまう。
中央分離帯にひざまずく夫婦の姿が印象的だ。

その他にも、愛を知ると第二、第三の腕が生えてきたり、妻のお腹に宿った生命を感じ取ろうとしているうちに夫の身体に引き出しができてしまったりと、奇想的な作品もあるが、それは「妊娠」という普段の状態から考えれば「異常事態」に見舞われた体験から発せられているように思う。

なかなかイタイ作品が多いが私は好きだな。
二作目がどんな作品になるのか、それが気になる。