りつこの読書と落語メモ

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鈴本演芸場10月中席夜の部

10/19(月)、鈴本演芸場10月中席夜の部に行ってきた。

・一朝「短命」
ホンキートンク 漫才
・さん助「だくだく」
〜仲入り〜
・アサダ二世 マジック
・志ん輔「野ざらし」
・小菊 俗曲
・さん喬「幾代餅」

一朝師匠「短命」
からっとしていてくどくなくて軽くてひたすら楽しい。
察しの悪いくまさんにご隠居さんが「そこだよ」と言うと、「え?どこですか?」とくまさんがひょいっと自分の脇を見るのがとてもおかしい。
それもしつこくやらないのがいいんだよなぁ。

またくまさんのおかみさんが威張ってるわけじゃなくとにかくさばさばっとしていて男らしい。
そんなおかみさんだから「人に見られたら二人は怪しいと思われる」とご飯をよそうのを嫌がるのも納得で楽しい。
一朝師匠の「短命」大好き。

ホンキートンク 漫才
この代演はうれしい!
正直全く面白いと思えない漫才を何回も見るのはつらい…。って同じ芝居に何回も通うのが悪いのだが。
「待ってました!」は言えないけど必ず手は振るワタクシに、「あ、いつもありがとうございます」と言ってくれるのがうれしすぎ。いや私に言ってるわけじゃないかもしれないが。妄想力!
いつものネタにちょっとプラスしてくれるのもうれしいんだなぁ。
韓国語で「ごみ箱」とか言うのが面白くて大笑い。
スピード感があって抜け感があってこの二人の漫才ほんとに好きだ。

さん助師匠「だくだく」
自分は近視なので高座からお客さんの顔は見えません、とさん助師匠。
噺家の中にはお客さんの表情が見えないと不安だと言ってコンタクトを付けて高座に上がる者もいる。一度自分もやってみたことがあるけどダメだった。お客さんの表情が見えるのが自分には無理…笑わないのはまだしも、明らかに敵意の視線を向けてくる人もいるので、弱い自分には耐えられない。
それにきれいな人がいたりすると血圧が上がっちゃって…。
その点今日は安心してできますね。
…って私を見て言ったような気が…。なぜみんなそういう時に私の方を見るのだ!ひがみか?

そんなまくらから「だくだく」。落語の中でいっちばん好きな噺!だけどなかなか聞くことができない噺。うれしすぎる。
長屋に引っ越してきたくだりはなしで、くまさんが「先生」を自分の家に連れてきたところから。
普段偉そうに言ってるんだからちゃちゃっと描いちゃってくださいよ、と壁に貼った紙に100両はくだらないという総桐のタンスを描いてもらう。いいですね、じゃその上に洋ダンスを。それから○○ダンス、あと××ダンス…いろんな種類のタンスを描かせるくまさん。

「火鉢には鉄瓶が乗っててそこから湯気がぷしゅーっと出てて。」
「湯気がぷしゅーっは難しいな」
「あと金庫から金が5千円ばかりちょろっと出てるように。いかにも金があるよってたくさん出てるのは嫌なんですよ。でもあるんだろうなぁっていう雰囲気は出るように」 「雰囲気って…難しいこと言うなぁ」
「ありがとうございました。お茶と洋館をどうぞ」
「お茶と羊羹ってこれは私が描いた絵じゃないか!」
二人の会話が楽しい。

目の悪い泥棒もいかにも目が悪そう。まくらが効いているのだなー。なるほどー。
絵だと気付いて、だったらこっちも盗ったつもりでやってみようという泥棒。その様子を見て「ばかだねぇ…」と笑いながら「粋だねぇ」と感心するくまさんがまたおかしい。
絵に描いたタンスから着物を取り出し風呂敷に包んで重くて持ち上がらないつもり、とか楽しすぎる。
ほんとに落語にしかない世界。楽しかった〜。

さん喬師匠「幾代餅」
ほんとに毎日鉄板ネタをきっちりとかけられるんだなぁ…。
久蔵が恋煩いとわかった瞬間のおかみさんの反応がすごくかわいい。絶対親方には言わないよと約束して戻って来るなりすごく嬉しそうに喋るところなんかも女性的でかわいらしい。
1年働いて幾代を買いたいと言う久蔵に親方が「あれは嘘だ」と言うと親方を責める久蔵。私を働かせるためにそんな嘘をついたんですかと責める言葉がとてもリアル。細かいところまで神経が行き渡っているのだなぁ…さん喬師匠の落語って。
それを聞いた親方が「ほんとにすまない」と謝りながらも何度もお前をだましたわけじゃない、嘘をついたわけじゃない、と繰り返すのがとてもいい。
やっぱり親方はふざけちゃいけないよなぁと思う。それで笑いが取れるかもしれないけどこの噺のいいところが台無しになっちゃう。

何度聞いても「オヤジ’S ドリーム」感はぬぐえないけど、お約束事の多いお金だけの世界でこういうことがあってもいいじゃないか、ということで。
いいところで携帯が鳴っていたけど物ともせずその世界を作りきったさん喬師匠。すてきだった。