りつこの読書と落語メモ

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柳家小三治独演会

10/15(木)、麻生文化センターで行われた「柳家小三治独演会」に行って来た。

・一琴「真田小僧
小三治粗忽長屋
〜仲入り〜
小三治船徳

小三治師匠「粗忽長屋
粗忽長屋」は本当にいろんな人で何回も見ていて、小三治師匠でも何回も見ているけれど、こんなに面白い「粗忽長屋」は初めて!というぐらい面白かった。
とにかくまめでそそっかしい男の威勢の良さと軽さがたまらない。
人だかりを見て「なんですかね?」と興味を抱き、「どうやら行き倒れのようですよ」と言われ、一瞬間が空いて「そうですか」と言う、それだけで得も言えぬ面白さ。あ、こいつ、わかってねぇな、っていうのが瞬時にわかるのだ。
無精でそそっかしい方ものんびり煙草をふかしながらぶつぶつ言ってる、それだけでなんともいえず楽しい。
また世話をしているおじさんがまめな男にまた声をかけられて「あーまたあの人が来ちゃったよ」と言う、その対比がたまらなくおかしい。すごいすごい。

小三治師匠「船徳
こんなにご機嫌な小三治師匠を見たのは本当に久しぶりというぐらいご機嫌な小三治師匠。
よっぽど体調がいいか、恋焦がれている禅寺丸柿との再会がうれしいのか。
「この会場は大好き。なぜならお客さんがいいから。」ってそんなことお世辞でも言うの珍しい。

政治についても「だれが総理大臣をやってもいい。私はこれだけです。戦争は絶対にやってほしくない。戦争だけはいやだ」
そこで大きな拍手。もちろん私も。
自分は戦争を体験していて、戦争が始まるまではそういう教育を受けてきたから、将来の夢と聞かれて「陸軍大尉」と答えるぐらいの軍事少年だった。
そんな自分でも戦争が始まって家が焼かれ、疎開先の仙台も何度も攻撃を受けて空が真っ赤に染まるのを見て、敗戦を経験して、ああ、戦争はいやだ、本当に嫌だ、と思った。それだけは染みついている。
右も左もない。どんなことがあってもどんな理由があっても戦争だけはしてほしくない。 そう語る小三治師匠。

それから若旦那っていうのは、っていうまくらをふりながら、だいたいしくじるのは女。女の子に夢中になっちゃってね。
でもね。男と生まれてきたからには、好きな女がいて恋に迷うっていうのは当たり前のことで、そうでなくちゃいけない。女もそうですよ。女と生まれてきたからには好きになった男がいてこの人とずっと一緒にいたい、そう思えるようでなきゃ。
私は女好きだとかなんとか言われてもいいんです。そういうふうに生きたいんだから。
笑いが起きると「いったい私は何を主張してるんでしょうか」と照れ笑い。
じーん…。ほんとそうだなぁ…。

まくらの分を切りこんだ「船徳」だったんだけど、とにかく徳さんの軽薄な若旦那ぶりが楽しく、船に乗った男たちのとほほと揺れ動く船の様子だけで楽しく、ほんとにご機嫌な高座。
小三治師匠が落語の中の人物に溶け込んで、これが落語だ!という感じ。
いやぁ、こういう高座に出会えて本当に幸せだ。