りつこの読書と落語メモ

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夕べの雲

夕べの雲 (講談社文芸文庫)

夕べの雲 (講談社文芸文庫)

★★★★★

何もさえぎるものない丘の上の新しい家。主人公はまず“風よけの木”のことを考える。家の団欒を深く静かに支えようとする意志。季節季節の自然との交流を詩情豊に描く、読売文学賞受賞の名作。

しみじみ良かった。 昔の私だったら「…で?(それがなにか?)」と思ったかもしれない何気なさ。

特別な事件が起きなくても強烈な登場人物がいなくても淡々とした日常のひとこまで充分物語として楽しめる。
何でもない暮らしの中には、小さな悩みがあったり喜びがあったり驚きがあったりする。それらを拾い上げてゆっくりと静かに味わうことの贅沢さ。

読んでいてとても慰められた。
手に余るほどの大きな甕や山茶花や子どもたちのコヨーテの歌に。

驚いたなぁ…。なんかすっかりトリコになってしまった。他の作品ももっと読んでみたい。