りつこの読書と落語メモ

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天使はポケットに何も持っていない

天使はポケットに何も持っていない (Modern&Classic)

天使はポケットに何も持っていない (Modern&Classic)

★★★★

俺は飲んだくれの失業者。親父がのこしていった老いぼれのブルテリア、ロッコを道連れにサンタアナの熱風の中を行く。悲しみと真実だけが俺の魂に宿っている。父、ジョン・ファンテへの深い思いをこめて書いた自伝的小説。

アル中でろくでなしのブルーノが死に瀕した父に会いに故郷に帰るのだけれど、酒が切れるとイライラして爆発し、酒を飲むと自制が効かなくなりメチャクチャをし、その暴走はとどまるところを知らない。
なんでこんな最低な男の物語を読まなきゃいけないんだ?とイライラしてくるのだが、読んでいるうちにブルーノの優しさと弱さが見えてきて、いつの間にか彼を優しい気持ちで見守ってしまう。

ところ構わずクソを垂れ、他の犬に見境なく噛みつく駄犬ロッコはブルーノそのもの。
彼らの間に生まれた敬意の友情が少しだけ明るい未来を予感させてくれるところがいい。
読み終わってからこの表紙を見るとなんとも切ない気持ちになる。