りつこの読書と落語メモ

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痴者の食卓

痴者の食卓

痴者の食卓

★★★★

貫多、反省す──。
このままでは本当に、いつか破滅の日がやってきてしまうに違いない。

恋人を喜ばせるために購入した鍋が悲劇を呼ぶ表題作。
テレビ番組の撮影で赴いた小学校での、
過去との再会と訣別を描く「夢魔去りぬ」。
その他四篇を収録した、平成無頼派真骨頂の傑作私小説集。

相変わらずやなぁと思いながらも読んでいるとつい声を出して笑ってしまう、貫多シリーズ。

自分のことを客観的に見られることと自分の感情をコントロールすることはまるで別物なわけで、作者自身もきっとこういう暴力男なのだろうなと思うと、絶対お近づきにはなりたくないと思う。
秋恵を手放したくない理由がこれを逃すとこの先素人の女体と交わることはできないからということが繰り返されて、最低としか言いようがないのだが、切実さも伝わってくるので笑ってしまう。

独特な表現が、身勝手としかいいようのない主人公を文学的な人物として昇華させているところが魅力。