淋しいのはお前だけじゃな
- 作者: 枡野浩一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 文庫
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振り向いてくれたけれども「がんばれ」はたぶん自分に言った言葉だ―。残業続きで恋人に会えない夏の日々、文芸部の美少女と何も起こらなかった高校時代、今も発熱し続ける叶わなかった夢…。短歌の背後にはいつも、淋しくて優しいストーリーがあった。日常の小さな感情を温かな筆致で描く、短い歌と短いストーリー。オオキトモユキの筆による、ユーモラスで少し悲しい絵物語も同時収録。
「ぐっとくる題名」で読んで気になっていた一冊。毎晩ビールを飲みながらちびちび読んだ。
短歌とエッセイとイラストのバランスが(ページ割りも!)なんとも絶妙で心憎いような、ちょっとイラッとくるような。
恋愛や過剰な自意識や若気の至りを歌った短歌が多いが、短歌でズバっと切りつけたあとに、弱気なエッセイが続くのが楽しい。
黒目だけのさみしそうなペンギンと作者の姿がだぶる。
一番好きだった短歌は「つきあって日が浅いのでまだ君の傷つけ方がよくわからない」。
よくわかってないけどきっとすごく傷つけてるよ、もうすでに。なんかそんな気がする。
後書きの「恋する男女はしらふではない。だから、しらふに戻ったとき思い返すと恥ずかしい。忘れてしまいたい。」の言葉に思わずニヤリ。 なんかめんどくさそうな人だけどこの人の文章、好き。