りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ダーティ・ワーク

ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)

ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)

★★★★

ギタリストの熊井望は、自分をもてあましながら28年間生きてきた。音楽以外に興味はなく、唯一思いを寄せるのは、昔の友人。自分の分身のようにかけがえのない存在だったが、今はもう会えない。彼女が取り返しのつかないことをしてしまったから―。様々に繋がる人間関係から見えてくる、ささやかな希望。ローリング・ストーンズに乗せておくる、不器用な若者たちのもどかしくも胸に迫る物語。

軽く見えて案外ヘヴィ、ポップなようでロックな物語。
連作短編ともちょっと違う?最初はバラバラの物語に見えていたのが、人物がつながったり、性別が明らかになったりしながら、最後につながっていく。

この物語を読んで、人はみな日常を生きているんだなぁということをなんだかしみじみと思った。そして誰かから見える自分と自分が思う自分は当然違っていて、付き合っていても相手のこと分かってないものだなぁと思う。
そう考えると、なんか一緒にいる意味があるのかなとむなしくなったり…所詮人間は一人なんだなと強がりを言いたくなったり…でもやっぱり好きなひととは一緒にいたい、同じ道を歩いていきたいよなぁと願ったり。

最後まで読むと何故か励まされている不思議。
べたべたしてない距離のとりかたと無駄のない文章。熱狂的なファンが多いのもうなづける。