りつこの読書と落語メモ

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独りでいるより優しくて

独りでいるより優しくて

独りでいるより優しくて

★★★★

一人の女子大生が毒を飲んだ。自殺か、他殺か、あるいは事故なのか。事件に関わった当時高校生の三人の若者は、その後の長い人生を毒に少しずつ冒されるように壊されていく―凍えるような孤独と温かな優しさを同時に秘めたイーユン・リーの新作長編。

なんとも言えず息苦しい物語でアップアップになりながら読んだ。

天安門事件に関わり大学側からの処分を待っていて苛立つ少艾。彼女のもとに、孤児の如玉が送り込まれてくる。
他人に踏み込まずにいられない傷つけることでしか自分の生を実感できないような少艾と、一方まわりを見下し自分の中に踏み込ませないことで自分自身を常に優位に立たせようとする如玉。
ついに退学の知らせが届き自暴自棄になった少艾と如玉の闘いはさらに激しさを増しついには…。

この二人に巻き込まれて人生を空虚なものにしてしまった默然と泊陽には同情してしまうのだが、それもまた一つの生き方と言えるのだろうか。
默然が元夫ジョセフの元に行きタイトルの通りの境地を抱けたことに唯一の救いを感じた。
彼らがみな赦されることを願わずにはいられないのだが、作者はこの物語で何を描きたかったのだろう…。
中国という国の生きづらさを感じずにはいられなかった。