りつこの読書と落語メモ

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パールストリートのクレイジー女たち

パールストリートのクレイジー女たち

パールストリートのクレイジー女たち

★★★★★

世界大恐慌、父の失踪、スラム、貧困、第二次世界大戦。アメリカンセンチュリーに、僕と若い母と幼い妹が暮したパールストリートは、クレイジーな女だらけだった…。トレヴェニアン最後の長篇小説!

江國香織翻訳の帯に惹かれて読んだのだが、とてもよかった。素晴らしかった。
作者トレヴェニアンの自伝的な要素もあるのではないかと思ったのだが、感傷的になりすぎることなく少年時代を生き生きと瑞々しく描いていて、わくわくしながら読んだ。

魅力的だが詐欺師のような父親に見捨てられた母子が、スラム街に置き去りにされるところから物語は始まる。
プライドが高くエキセントリックで気難しいけれど子どもに惜しみない愛情を注ぐ母。頭がよくて想像力が豊かで母の右腕として頑張る主人公。かわいらしくて感受性が豊かな妹。
この3人が持ち前の反骨心とさまざまな工夫をして、貧しく苦しい生活の中でもささやかな楽しみを見つけ暮らしていく。

貧乏、病気、戦争と辛い要素てんこもりの苦い物語だが、主人公の豊かな想像力と母親の生命力に救われた。
ドン底に落ち込んだ時にたよりになるのは反骨精神と自尊心と想像力だということを教えてくれる。

彼らはみな欠点だらけだけどなんと愛しいのだろう。悲劇を喜劇に変えるのはユーモア精神なのだなぁ。読んでよかった。痛快!