りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場6月中席夜の部

6/11(木)、鈴本演芸場6月中席夜の部に行ってきた。

・仙三郎社中 太神楽曲芸
喬太郎「擬宝珠」
・文左衛門「笠碁」
〜仲入り〜
ホンキートンク 漫才
・燕路「悋気の独楽
・夢葉 マジック
・さん助「子別れ(中)〜(下)」

喬太郎師匠「擬宝珠」
なんか変な着物だなぁ、赤い線が入ってて…なんだろうなぁ、なんか変な感じだなぁ。
出てきたときからそう思っていたら、なんとこれがウルトラマンの着物。
ウルトラマンのがちゃがちゃについて熱く語り、今日は漫談だけかと思わせておいて、「擬宝珠」に入り、「今日は落語やらないかと思ったよなぁ」で大笑い。
しかも途中で「え?さん助にご祝儀を渡したい?」というセリフも入ってたりして、楽しい。

燕路師匠「悋気の独楽
トリに上がるさん助師匠のことをあれこれ話してくれて、盛り立てて行ってあげようという心意気が伝わって、じーん…。
燕路師匠は小三治師匠がトリの時に「信者のみなさん、こんばんは」と言うので嫌いだったんだけど、嫌いじゃなくなったよ(←子供)。

さん助師匠「子別れ(中)〜(下)」
驚いた。こんな「子別れ」初めてだ。
弔いに出かけて4日ぶりに帰ってきたくまが、葬儀で出た強飯を5つ巻き上げたことや、火葬場に行ったという嘘をおかみさんにすぐに見破られて、分かってるならしょうがないと開き直って吉原に行って昔の女に会ってそのまま居続けたと、パーパーのろける。
このくまがおかみさんに甘えたり開き直ったりいい加減でなんともいえずチャーミングなのだ。
おかみさんから「別れてくれ」と言われて意固地になって離縁した後、酒をきっぱり断って3年後、番頭さんに誘われて木場へ向かう途中で亀と再会するシーンも、亀の友だちが「お前を見てる気持ち悪いおじさんがいるぞ」と言ったりして、しめっぽさが全然ない。

父親と再会した亀が最初のうちそっけないのも、お小遣いをやったくまが「(おかみさんは)ズックも買ってくれねぇのか」と無神経なことを言うのもすごくリアル。
なのに、二人の会話を亀の友だちのろくちゃんが盗み聞きしていて時々ちゃちゃを入れてくるのがすごくマンガっぽくて(なんか赤塚不二夫の漫画っぽい)おかしいし、耳ダンボの八百屋にくまが時々ツッコミを入れるのもおかしくて、さん助師匠のこういう「はずしかた」がすごく好きだ。

家に帰ってからの亀とおかみさんの会話も切りこんであってあっさりしているのもすごくいい。
詰問された亀が玄能でぶたれそうになって泣くのだけれど、すぐにけろっとして「うなぎ食べに行ってきていい?」と聞くのも、男の子らしくてかわいい。
鰻屋での再会のシーンも夫婦がやたらと固い言葉であいさつするのもおかしいし、亀に「3人でまた一緒にお腹をぐうぐういわせよう」と言われたくまが、おかみさんに虫がいいとは思うけど頼むからまた一緒になってくれと頼むところも、きちんとしてなくて「悪りぃ悪りぃ」って感じでおっちょこちょいなくまのキャラクターがすごく魅力的。でもこいつまた同じことするかもしれないぞ、というところまで感じさせて面白い。

やーーーなにこれ。
「子別れ」はほんとにいろんな師匠でたくさん見てきているけど、今まで聞いた中で一番好きな「子別れ」だ。
誰がやってもいつもじんわり泣いて、だけどなーんか虫のいい噺よねと思っていたんだけど、虫のいいくまさんって初めてですごく楽しかった。
これが昨日あのぶっ壊れた「茶の湯」をやったのと同じ人なんだろうか。驚き。