りつこの読書と落語メモ

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ぎやまん寄席 湯島天神編(第63回)馬治・さん助ふたり会

6/8(月)、湯島天神 参集殿で行われた「ぎやまん寄席 湯島天神編(第63回)馬治・さん助ふたり会」に行ってきた。

・わん丈「やかん」
・さん助「雑俳」
・馬治「百川」
〜仲入り〜
・馬治「子ほめ」
・さん助「死神」

わん丈さん「やかん」
この間自分の師匠の圓丈がテレビで取り上げられてましたね、とわん丈さん。あれを見てつくづく感じたんですが、師匠っていうのはテレビで見るぐらいがちょうどいいですね、と笑わせる。
これは自分が初めて師匠から教わった噺で、今やられているのは売れっ子の師匠が始めた形で、師匠も「あれはすごく面白い」と言いながら、「でも俺が教えるのはそれとは違う形だから」とあえて面白くない方を教えてくれたんです。
今からそれをやりますと「やかん」。
テンポもいいし明るくて聞きやすくてとても楽しい。わん丈さん、見るたびにうまくなるなぁ。すばらしい。

さん助師匠「雑俳」
ご隠居の鷹揚さと口が悪いけど気のいい八の会話がほんとに楽しくて、ずっと見ていたくなる。
ご隠居のことを泥棒じゃないかと噂してるとか、趣味が「俳諧」と聞いて「徘徊」と思って驚くところなんか、分かっているのにべらぼうにおかしくて大爆笑。
お客さんももうさん助師匠の「雑俳」を知っているのか、ご隠居が「猫」をやり出した途端にあちこちで笑いが起きていたのがなんともいえずいい雰囲気だった。

馬治師匠「百川」
この後さん助さんは鈴本のトリが決まってます。今回10人で真打になって、他の誰に決まっても悔しいんですけど、さん助さんだとね…悔しくないんですよね。人柄ですね。みんなそうだと思います。席亭もそれを分かってて選んだんじゃないかと思いますね。悔しい気持ちはなくて「大丈夫?」って思いますから、に大笑い。

前座仲間ですから。私たちはダメ前座でね。まじめに寄席に通わなかった。
後輩に一之輔、文菊、燕弥なんかがいて、これがもう優等生。楽屋に入ってこの3人がいたらもう大丈夫だと思って私なんか帰っちゃってましたから。何かあったら責任取るからって言って。かっこいいでしょ?そもそも何かなんか起きないんですよ、寄席で、生命を脅かすようなことは。
でも楽屋入ってさん助さんだとね。師匠の着物にお茶をこぼす…そんなレベルじゃない、生命を脅かすようなしくじりをやりそうなんでね、さん助さんの時は帰りませんでした。
これ以上ない地味な会ですね。
しかも「馬治さん助二人会」って書いてあると、「馬治さんを助ける会」に見えちゃって。

そんなまくらから「百川」。
これがもうめちゃくちゃ面白い!
もともと好きな噺っていうのもあるけど、馬治師匠のとぼけたキャラクターとこの噺が合っていて、すごく楽しい。
百兵衛さんの「うっしゃ」も面白いんだけど、早合点する兄貴と「そうかい?」「ちがうんじゃねぇか?」と突っ込む弟分の会話が絶妙でおかしい。
最初から最後まで笑いっぱなしだった。
すごく好きになってしまった、馬治師匠。

馬治師匠「子ほめ」
前半が長かったからかここで「子ほめ」。これがなんかまたとても面白かった。
馬治師匠の八はほんとに口が悪くて何を言いだすかわからないドキドキ感が。
時々入る独自なクスグリがちょっとブラックでおかしくて大爆笑だった。

さん助師匠「死神」
びっくりするほど良かった。なんだこりゃ。
死神が気持ち悪くて怖いんだけどものすごいユーモラスでそこがすごく落語らしい。
一方八のほうがいかにもパーパーしてて悪気がないけどだらしない男で、それがなんか楽しい。

呪文を教えてもらった八が繰り返すんだけど、さん助師匠らしく壊れる(笑)。
「あああああじゃあじゃかももももも…あじゃあじゃあじゃ…」
「…どんだけ物覚えが悪いんだ…。」とあきれる死神を初めて見た(笑)。
やっぱりこれ(奇声)はやらないわけにはいかないのね…さん助師匠…ぷぷっ。
1回しか教えねぇぞと言っていた死神が3回教えてくれて、3回目でようやく正しくできて死神が消えていくのがおかしい。

金が手に入ってうるさい女房と別れて若い女に言われるがままに上方見物に行って全財産を失って、でも医者って看板をあげればまた金なんかいくらでも手に入る、がははは!と八が笑うのが、なんともいえず魅力的。
たいていの「死神」は上方から帰ってきてからトーンダウンしちゃうのに、さん助師匠のは帰ってきてからもパーパーしていて、そこが楽しい。
枕もとの死神をうまいこと追っ払って金が手に入って早速吉原に行って百両ぱーっと使って、金をばらまいたら女も若い衆もみんな這いつくばって金を取ろうとしてたなと笑う八がこの後の結末を知ってるだけに哀れでもありおかしくもあり。
死神と再会して退散させた死神が当人だったと分かって謝る八に「おめぇなんでよりにもよって俺の当番の時にやるんだ。おかげで鈴本のトリを取り消されたじゃねぇか」には大笑い。

死神に導かれて階段を下りていくところが、ゆっくりゆっくり一段ずつ…っていうのは初めて見たんだけど、不気味さが伝わって来るしそこから一気に明るい場所に出て驚くのがリアルでびっくりした。
自分の命の蝋燭が今にも消えそうなのを見て青ざめる八を見て、死神が楽しそうに笑うのが、怖いけど面白くてたまらない。
今まで私が見た中で一番面白くて落語らしい「死神」で、しばし呆然。
すごく良かった。感動。