りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

だれがコマドリを殺したのか?

★★★★

医師のノートンは、海岸の遊歩道で見かけた美貌の娘に、一瞬にして心を奪われた。その名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”。ノートンは、踏みだしかけていた成功への道から外れることを決意し、燃えあがる恋の炎に身を投じる。それが数奇な物語の始まりとは知るよしもなく。『赤毛のレドメイン家』と並び、著者の代表作と称されるも、長らく入手困難だった傑作が新訳でよみがえる!

誰かに薦められて(ききき記憶が…)「読みたい」と思っていたものの絶版になっていて入手できなかったこの作品。 新訳で再販ということで大喜びで読んだ。

面白かった。こういう古典ミステリーって好き好き。
ぼんやり読者の私でもトリックがわかっちゃうし、心理の変化も唐突だし、探偵の登場から事件解決までも無理やりだし、突っ込みどころ満載なんだけど、安心して読めるこのたのしさ。
最近のミステリーは事件がとにかく陰惨だし刑事たちもそれぞれの事情を抱えて苦しんでるし、なかなか気軽に読むことができないけど、こういうミステリーなら気楽に楽しめる。

いやそれにしても昔の人は遺産を当てにしてたんだねぇ。当てにするだけの遺産があったってこと?家柄がいいとそうなのかしら。そこらへんの感覚がまるで違うんだなぁ。なんてことをぼんやり思ったり。
恋愛感情が憎しみに変わり、自分が思う通りの暮らしを手に入れてもなおも相手の破滅を願う…というのは、なんとなくわかるなぁ、と思ったり。

この作者のそのほかの作品も読んでみたい。