りつこの読書と落語メモ

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ニュー・ラクゴ・パラダイス第2回「ニューお題噺」

4/22(水)、渋谷UPLINKで行われたニュー・ラクゴ・パラダイス第2回「ニューお題噺」に行ってきた。
末井さんの書いたエッセイ「自殺」をテーマに鯉八さんと吉笑さんが新作を披露するというこの会。これは行かないわけにはいかない!

・吉笑&鯉八 オープニングトーク
・鯉八「自殺」
・吉笑「死ぬ生きがい」
・〜仲入り〜
末井昭&吉笑&鯉八 トーク
〜仲入り〜
・ペーソス ライブ

吉笑さん&鯉八さん オープニングトーク
「自殺」というテーマがきつかった〜というお二人。
お二人とも作っている間、一度は精神的にかなり落ちたとおっしゃるが、無理もない。
末井さんの「自殺」は決して重苦しい内容ではないのだが、自殺を語りながら重苦しくないというのは絶望も突き詰めれば希望になるという、その境地に至るまでの末井さんの生き様の凄まじさがあるわけで、それをテーマにする難しさというのは確かにあっただろうなぁと思った。

鯉八さん「自殺」
前に鯉八さんが自分はおしゃれカフェが似合う落語家だと言っていたけれど、いやたしかにほんとにそうなんだな。
この会も、会場がとてもおしゃれで集まった人たちもいつもの落語ファンだけではない雰囲気。
そういう時に鯉八さんの魅力が存分に発揮されてお客さんにも受け入れられて一体感が生まれるのだ。
鯉八さんにこんなに渋谷が似合うとは…!ほんとに稀有な存在だ。

自殺をしようと思ってると母親に宣言する男。
母親はもちろん大反対。だいたいそんなことを宣言して自殺をする人がいますか!という母親に向かって、でも黙って自殺したら怒るだろう?と男。
じゃどうせ自殺するなら家の近くにして。ちょくちょく見に行くから、と母親。
えええ?と驚くような母と息子の会話が続くのだが、そこに登場する父親。なんと自殺には大賛成だと言う。しかもその理由が、母さんが息子にばかり愛情を注ぐから自分は寂しい。いなくなってくれればこんなにありがたいことはない、と。
そんな家族の会話をたまたま外で聞いていた男がいて、我慢しきれず家に入ってくると…。

噺はありえないような会話で進んでいくのだが、不思議と嫌な感じがなくておかしい。
しかも後半鯉八さんらしいなんか昔話っぽい雰囲気に移行していくのが不思議なんだけど違和感がなくて面白い。
内側を向いているのに自由に楽しい独特の世界。鯉八ワールドを堪能した。よかった。

吉笑さん「死ぬ生きがい」
鯉八さんがどんな噺を作ったのかとても気になって見たくてしょうがなかったけど、自分がやらなきゃいけないということでいっぱいいっぱいになっていて、見る余裕がありませんでした、と吉笑さん。
吉笑さんを見るのはこれで2回目なんだけど、頭がいい人だなぁという印象。ああだこうだと理屈をこねくり回す楽しさ。

現場で仕事を一手に引き受ける男。
親方にあの人かっこいいですね、仕事ができて仲間に好かれていていい男で。そういう言う新入りくん。
ああ、そうだろ、かっこいいだろ、でもあいつをお手本にしちゃいけないよ。なぜならあいつは自殺することを目標に頑張ってきて、今日いよいよ自殺する予定だから。
ええ?なんですか、それ?おかしくないですか?止めるべきでしょう、それは。
いや、死ぬのも生きるのもそんなに違いはないんだよ。ま、話をしなきゃわからないか。

考えすぎて明らかに変な理屈になっているのに本人大真面目で自分の中では理屈が通っている。
この間聞いた「舌打たず」にも通じる、自分の中では常識、世間的には非常識という世界。

とにかく自殺についてあらゆる角度から見てみようと「自殺」「方法」などで検索をかけまくったという吉笑さんは外から攻めるタイプ。
それに対して鯉八さんは外からではなく中から攻める作り方。
二人のタイプがまったく違うのでそれがお互いの魅力を引き立てあっていて、とてもいい組合せだと思った。

末井昭さん&吉笑さん&鯉八さん トーク
吉笑さんが仕切って結構斬りこんでいくんだけど、末井さんが結構予想外の返答をするので、「え?」と吉笑さんと鯉八さんが固まるのが面白い。
ダイナマイト自殺をしたおかあさんのことを話すと笑ってくれるような環境で仕事をするようになってようやく自分の中で消化できるようになったという末井さん。
自殺をやってはいけない間違ったこととしないという態度は誤解を生むこともあるだろうが、生きづらかったり八方ふさがりに感じている人間には、救いになる言葉だと思う。
誤解を恐れずに自分の言葉で語る末井さんがかっこいい。

ペーソス ライブ
ペーソスを見るのはこれで3回目。
こんなに近くで見たのは今回が初めてで楽しかった〜。哀愁の間に見え隠れする諦めきれてない感じが素敵だ。

次回は6/25(木)。ヒッチコックの「バルカン超特急」がテーマ。面白そうっ!
とんがった企画の落語会というのはあるけど結局普通に落語やっただけでしたということが多い。この会は鯉八さんと吉笑さんが真っ向からテーマにぶつかっていて、とても面白い。