りつこの読書と落語メモ

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靴の話/眼 小島信夫家族小説集

靴の話/眼 小島信夫家族小説集

★★★★

芥川賞受賞作「アメリカン・スクール」から戦後文学の金字塔といわれる「抱擁家族」までの十年間の短篇作品を精選。この間、アメリカ留学、家の新築、妻の手術、妻の死、再婚と、著者自身へもめまぐるしい「事件」が生じ、“関係”をめぐるドラマが主題となる。見知らぬ男からの一方的な関係、監禁という関係、友人のなかにいる異質な友との関係、友人と妻との姦通…。「抱擁家族」へとなだれ込む、貴重な短篇集成。

面白いんだけど楽しくはないので読むのに時間がかかった。
不倫がテーマの作品が多いのだが、恋愛の高揚はなく、むしろ妻と愛人両方の間をフラフラすることで自分を保っているような男が描かれる。
いとおしく思ったかと思えば嫌悪したり軽蔑したり逃げたくなったり追いたくなったり。醜い心情が丁寧に書かれているだけに読んでいてうんざりする。

不倫以外の作品「声」「ある掃除夫の観察」「遅れる男」などは「厭な物語」に収録されていてもおかしくないようなインパクトのある厭な話。
じっとり日本的なのにどこか海外小説のような雰囲気があるのが不思議だ。