りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ありふれた祈り

ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

★★★★

あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった―。1961年、ミネソタ州の田舎町で穏やかな牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉、聡明な弟とともに暮らす13歳の少年フランク。だが、ごく平凡だった日々は、思いがけない悲劇によって一転する。家族それぞれが打ちのめされもがくうちに、フランクはそれまで知らずにいた秘密や後悔に満ちた大人の世界を垣間見るが…。少年の人生を変えた忘れがたいひと夏を描く、切なさと苦さに満ちた傑作ミステリ。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作!

苦手なタイプの小説だったのだが案外楽しく読めた。
楽しく読めたのは、子どもらしい身勝手さを体現したような主人公と、物語のなかの良心のようなジェイクのおかげかもしれない。

異民族にたいする偏見や先入観、近所の人や警官による断罪など、読んでいてきゅーっと胸を締め付けられるようだが、無力感だけに終わらなくて良かった。

しかしミステリーにこういう要素を持ち込むことはどうなんだろう、と思ってしまう私は、あまりいいミステリー読みではないのだろうな。