りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

きく麿レストラン 第9回

2/20(金)、落語協会2Fで行われた「きく麿レストラン 第9回」に行ってきた。
土曜日の夜が多いのでなかなか行けないこの会。やった!平日!と喜んだのだが、18時開演なので、会社から行ったら1席目が聴けない…。仕事も一段落したから休んでしまえ!と有休とって行った。

・きく麿「初天神
・きく麿「元イス」
〜仲入り〜
・きく麿「浜野矩随」

初天神
きく麿師匠の「初天神」は初めて。
いやぁ楽しい爆笑系の「初天神」。モノを買って欲しい時の子どもがめちゃくちゃリアル。そして何度も何度も同じことを言ってるうちにどんどん気持ちが高ぶってきて最後は怒声になるのがおかしいおかしい。

「元イス」
作ってからまだあまり変えてないです、と二回目の「元イス」。
元イスだから下着のエキスパートって、考えてみるとすごいばかばかしくておかしい。

「浜野矩随」
ネタ出しされていたのがこの噺。
偉大な父親とは似ても似つかないような作品しか作れない矩随。
それでもどうにか食っていけるのは、父親に義理がある若狭屋が矩随が作った駄作を必ず二分で買い取ってくれるおかげ。
ある日矩随が馬を彫ったのだが寝不足で手が滑って足が1本欠けてしまった。それをそのまま持っていくと若狭屋の旦那が「今まで恩があるからと黙ってきたけれど」とついに三行半を出す。
「死んでしまえ」と捨て台詞を吐かれた矩随はもう死ぬしかないと思いつめるのだが…。

いやぁこれがもう本当にすごくよくて、もう途中からきく麿師匠の落語を聞いているということを忘れて噺の中に入り込んでしまって息を止めて聞き入ってしまった。
気は優しくて真面目だけど下手くそな矩随。
自分が一人前に育ててやるんだと目をつぶってきたけれど、甘えるにもほどがあると怒りを爆発させる若狭屋の旦那。
矩随の話を聞いて、死ぬ前に自分のために観音像を作ってくれと頼む母親。
とりたてて芝居がかっているわけではなくむしろあっさりとした語り口なのに、ものすごく胸に迫ってくる。

きく麿師匠の新作はだいたいがバカバカしくてくだらないし(←褒めてます)、古典も結構シュールなものが合っているんだろうと勝手なイメージがあったのだけれど、なんとこういう人情噺がすごくいいのだ!なんという意外性。
そういえばやはり年末にこの勉強会できく麿師匠が「芝浜」をかけて、すごくよかった!という感想をあちこちで見かけて、「ええー?見たかったーー」と思っていたのだ。
次の勉強会でも人情噺をかけるかもということで、うわーー行きたい。だけど土曜日の夜なんだよなぁ。うう。