りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

らくご街道 雲助五拾三次―親不孝ー

2/16(月)、日本橋劇場で行われた「らくご街道 雲助五拾三次―親不孝ー」に行ってきた。
今回のテーマは「親不孝」。「親不孝といえば私もそうなので…」と雲助師匠。お店をやっている家の一人息子で店を継ぐことを期待されてきたのに芸人稼業に入ってしまったので、特に父親にはがっかりされた、と。
反対していた父親がようやく認めてくれたのは真打になってから。年賀状の枚数が父親を超えた時に「お前もたいしたもんだな」と。
妙なもんで見直してくれたもんです、と笑わせる。

・雲助「三人旅(発端)〜抜け雀」
〜仲入り〜
・雲助「火事息子」

「三人旅(発端)〜抜け雀」
江戸っ子は宵越しの金を持たない、無尽で当たって思わぬ金が入って持って帰ると父親に「うちは代々貧乏なんだ。それを親の顔に泥を塗るような真似をしやがって。この親不孝もの!」と怒られた男。
だからこの金は使っちまわないといけないんだと友達に相談すると、旅慣れた友だちをもうひとり誘って3人で旅に出ようと話がまとまる。
そんな3人の旅の様子から、宿屋の客引き、そして「抜け雀」へ。
こんなつなぎ方!いかにも雲助師匠らしくていいなぁ。

見るからに一文無しだから誰も声をかけないのに、「お泊りになりませんかな」と声をかけた宿屋の主人。そのけろっとした笑顔がなんともいえずおかしく大爆笑。
汚い身なりをして一文無しだけどいかにも才能がある人らしくかっこいい絵師と、お人好しで一文無しを泊めてばかりの宿屋の主人の対比が楽しい。
さらりとしているけど楽しくて豊かな「抜け雀」。

「火事息子」
雲様の「火事息子」はいいのよーーと噂には聞いていたけど、ほんとにすごくよかった…。
店を継がずに家を飛び出して火消しになった一人息子。
ある日、店の近くが火事になり、蔵の目塗りをしなければと高所恐怖症の番頭が屋根に上がり 下にいる旦那からやいやい言われているところに、颯爽と現れた火消しの若者。それが全身に刺青を入れた若旦那。
親父に顔向けできないとだまって去ろうとする若旦那を引き止めた番頭が頼み込んで、父、母との再会を果たす。

意地もあるし世間体もあって素直に息子との再会を喜べない父親
それでも言葉の端々に息子を思う気持ちがにじみ出ていてじーん…。
一方母親の方は息子を思う気持ちを全く隠さず親ばかを丸出しにする。
これでもかと情愛を表現することなくあっさりしているのに子を思う親心が伝わってきて、涙涙…。
いやぁこれはいいわ…。いいもの見たわ…。大満足。