りつこの読書と落語メモ

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寝ても覚めても夢

寝ても覚めても夢

寝ても覚めても夢

★★★★

意地の悪さが痛快な、イギリスのブラックユーモアの女王が贈る、奇妙な家族の物語。映画監督のトムは、撮影中の大事故で瀕死の重傷を負った。九死に一生を得て現場に復帰するも、ままならぬことばかり。タイトルは二転三転、製作陣からは横槍が。得意なはずの女優たちの扱いにも手こずる始末。そんななか、トムの次女が失踪した。まったくかわいげのない娘ではあるが心配だ。金目当ての誘拐か、有名人の父親に反抗しての蒸発か。行方がつかめぬまま、今度はトムの知人が銃撃され…現実が見えない男とドライな女たちの滑稽な駆け引き。

スパークらしくなくやけに軽くて読みやすいのだが、最後まで読んで「ん?どういうこと?」と最初に戻る感じ。

冒頭の病院のシーンがたまらない。
朦朧とする主人公と時間の流れが噛み合っていないのをこんな風に表現するなんて。ものすごくたくみだなぁ、と思う。

映画監督は映画の世界を動かす「神」で、作者は小説の世界を動かす「神」。
では我々は誰に動かされているのだろう。
この小説自体が映画のようなお芝居のような…気まぐれに駒が動かされているようで、ふわふわと不思議な読み心地だった。

スパークと言えば絶版になったふるーい本を図書館で借りて読むしか術がなかったのが、新訳で読めるのは幸せだ。
日本でもスパークブームが来てどんどん新訳が出るといいなぁ!