ロリータ
- 作者: ウラジーミルナボコフ,若島正
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: 文庫
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「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。多様な読みを可能とする「真の古典」の、ときに爆笑を、ときに涙を誘う決定版新訳。注釈付。
文芸漫談のお題なので再読。
後半をほとんど覚えていなかったのは、最初に読んだ時は焦れて飛ばし読みをしたんじゃないか?という気がしないでもない。
前に読んだ時は、ロリータにかわいそうげがないからまだ救われたと思ったのだが、今回読んでみて、彼女は生き延びるためにそうせざるをえなかったのではないかと感じた。
なんといってもハンバートの手記なのだから、彼がそう思いたがったように書かれているのは当然のことではないか。
ロリータの立場や気持ちは嫌というほど分かっていたはずなのに、そこに愛があったのではないかと最後まで信じたがっていたハンバートの愚かなことよ…。
酷い話だがここに描かれているのは人間の本質。
だからこそこれは名作なのだと思う。
正しくなくてもここには本当のことが描かれている。
ナボコフ本人もその自覚はあったのだろう。そう感じさせる序文が凄い。