壇蜜日記
- 作者: 壇蜜
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 文庫
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賞味期限切れのソースで運試し。新聞を読んでいると、つい求人欄に目がいってしまう。ショックなことがあると、食事もせずにひたすら眠り、たまたま入ったコンビニで肌着類の品揃えが充実していると、他人事なのにホッとする。抱かれる予定はしばらくなしーー。
これぞ裸単騎で現代日本を生き抜く33歳女子の生活と意見! 壇蜜はやっぱりスゴかった!!
文庫完全書下ろし
いいねぇ、壇蜜。好きだわー。
自己評価の低さと謙虚さは表裏一体なのかもしれない。
前向きじゃないしポジティヴでもないけれど、諦めにも似た誠実さを感じさせる献身的な働きぶりが大好きだ。
仕事に行って家に帰って猫と昼寝をして水槽の掃除をする。
カップラーメンをすすり、テレビを見、入浴剤を入れた風呂に入り、寝る。
綴られるのはそんな普通の日常。仕事や売れていることに対する高揚感もなく、投げつけられた言葉に恨みを抱き、そんな自分をちっせぇと嘆き、やさぐれるときは「したくてでもできないひとがいる」と誰かの口真似をして気持ちの均衡をはかる。
何のために働くのか…最終的には給与明細とうちの子たちのためにしか働けない。喜んでもらうことと現金をもらう以外に仕事に意味を見いだせないのもまた事実。
なんだ、普通の人じゃないかと思っていると、時々いかにも「壇蜜」っぽい文章が出てきて、ドキっとする。
バナメイエビもイプシロンも悪くない。悪いのは、無理をさせた方だ。
カマキリとバッタに似た二人の殿方が目の前に。採集という言葉が咄嗟に浮かぶ。
また「壇蜜」をやっているが故に蔑まれたりすることもあることを匂わせる文章もあり、そのこと自体も受け止めて芸のこやしにしているしたたかさも感じる。
私は忙しくなると余裕がなくなり小さい人間になるようだ。 (中略) どうせ今だけのかき入れ時なのに期待に応えられないのはいい年した大人としてどうかと思う。
毒をはいても不快にさせないこの感じはなんだろう。
これを読んで壇蜜を嫌いになるひとはいないと思うんだけど、壇蜜嫌いなひとはこれを読もうとは思わないのか。
じっとりウェットなのに後味爽やか。
この人の文章が好きだ。グラビアやれなくなったら文章を書く仕事をすればいいと思う。