りつこの読書と落語メモ

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ペテロの葬列

ペテロの葬列

ペテロの葬列

★★★★

今多コンツェルン会長室直属・グループ広報室に勤める杉村三郎はある日、拳銃を持った老人によるバスジャックに遭遇。事件は3時間ほどであっけなく解決したかに見えたのだが―。しかし、そこからが本当の謎の始まりだった!事件の真の動機の裏側には、日本という国、そして人間の本質に潜む闇が隠されていた!あの杉村三郎が巻き込まれる最凶最悪の事件!?息もつけない緊迫感の中、物語は二転三転、そして驚愕のラストへ!『誰か』『名もなき毒』に続く杉村三郎シリーズ待望の第3弾。

面白かった。昔の宮部みゆき作品を思わせる作風で懐かしさを感じた。
これ、シリーズ物だとは知らなかった。シリーズだったら絶対一巻から読みたい律儀ちゃんだけど、知らずに3巻を読んじゃった。仕方ない。1巻2巻もあとから読まなきゃ。

世の中にはびこる悪意や犯罪を描きながら、人と人との繋がりやわかりあえる瞬間に希望や救いを感じさせてくれるところが宮部作品の好きなところ。
本人にそのつもりがなくても犯罪に加担してしまったり善意でしたことが間違いに繋がることもあるわけで、そのことに気づいたときにどういう行動をとるのか。目をつぶって忘れたふりをするのか、どうにかして罪を償おうとするのか…そんなフツウの人たちの葛藤が読んでいて苦しい。

人を追い詰めてお金をだまし取ったり自殺に追い込んだりする技術を持った人間が確かにこの世の中にはいて、金儲けだけに終始して後ろを振り返らない者もいれば、後悔の念にかられて自ら制裁を加えようと考える者もいる。
どちらにしても非道な行為であるけれど、それを見守る側も辛いよなぁ…。

飄々として達観してるように見える杉村だけが救いだったのだが、このラスト…。
わかりあえたと思ったひとや、永遠に続くと思っていた関係も、案外簡単には壊れてしまう、ということを最後のエピソードで描こうとしたのかもしれないけど、そりゃないぜ感がハンパない…。