りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治独演会 銀座ブロッサム

12/16(水)、銀座ブロッサムで行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。

・三三「転宅」
小三治時そば
〜仲入り〜
小三治「蒟蒻問答」

三三師匠「転宅」
小三治師匠の落語会はお弟子さんが前座を務めることがほとんどなんだけど、自分でめくりをめくりながら出てきたのが三三師匠だったので場内は大拍手。
前によみうりホールに行った時も同じことがあったんだけど、そりゃうれしいよ。だって日曜日は親子会に出ていた三三師匠が前座で見られるんだから。お得感ハンパない。

「私は師匠からまくらを長くやる噺家にろくなやつはいない」と教わってきていますのでと言って(笑)、短いまくらで「転宅」へ。
三三師匠の「転宅」は何回か見ているんだけど、お菊さんが色っぽいんだよなぁ。鼻の下を伸ばして翌朝うきうき訪ねてくるどろぼうが気の毒。

小三治師匠「時そば
売り声のまくらで、「時そば」か「うどん屋」かと思っていたら「時そば」だった。
そば屋の売り声だけで冬の寒い夜空が浮かんでくるのが不思議。
今年は小三治師匠の「時そば」をたくさん見たなぁ…。ってこれだけ追いかけて見に行ってるんだから当たり前といえば当たり前なんだけど、たくさん小三治師匠を見られてほんとにいい年だったなぁ…来年もたくさん見られますように…と年末気分に浸る私。

今日も最初の客は江戸っ子らしく、二人目の客はうどんのような太いそばをぬちゃぬちゃ食べ、「病気の時にはごくいいそばだ」と言って帰っていった。
それだけのことがほんとに楽しい。

小三治師匠「蒟蒻問答」
この間、横浜で話していた選挙の話から。こんな話をすると「で、どこに入れたんです?」と聞かれることがあるんですが…余計なお世話です、には笑った。
それから小三治師匠は苦手だという大喜利の話。あれはもともと寄席の楽屋には若いのやら年寄やらたくさん集まっているんですが、中には高座にもあがらねぇであがっても落語はやらねぇで楽屋で若い奴にただ小言を言ってる年寄の落語家がいて…そういう人たちにも何かやらせてお客さんを喜ばせる方法はないかと考えて始まったもんです。
楽屋にいてただ小言を言ってる年寄、には大笑い。いるんだろうなぁ。今も昔も。
そして、大喜利のうまい噺家にろくな噺家はいないという小さんの言葉を心の支えに生きて来たんですけど、うまいといえば談志は大喜利がうまかった、と。
どんなふうにうまかったかといって披露したのが確かにうまくて、それをいまだに覚えている小三治師匠も面白いなぁと思ったり。
それから問答なんていうのもあって、とそれを一通り説明したあとに、「蒟蒻問答」。
小三治師匠で聴くのは初めて!うれしい!

蒟蒻屋の主人が面倒見がよくて親分気質。それを頼ってどうにか暮らしている男がそろそろ江戸に帰りなよと主人に言われて、方々に借金をしているからまだ帰れない、もう少しここに居させてくれ。それを聞いて主人が「だったらお前坊主をやるか」。お経ひとつ詠めないという男に「お前、いろはにほへとぐらいは言えるだろ。ならそれをそれらしく言ってりゃいいんだ」と言って、「いーろーはーーにほーへーとーーー」。たしかにお経っぽい。
そこに問答をしたいと越前永平寺の僧が現れ、こりゃいけねぇ逃げなきゃと寺のものを道具屋に売ろうとしているところに現れた主人。だったら俺が問答を引き受けてやる、と。

永平寺の僧がああだこうだと言うのを「何を言ってるのかわからねぇや。」「もういい加減にしてもらいたい」「お湯は沸いたか(湯をぶっかけて追い払おうとしている)」とぶつぶつ言う主人。
無言の行と勘違いした僧とのやりとりがおかしくて、「あっかんべー」のかわいさに、くうううーーかわいいっ!!と身悶えた。
こうして追っかけていてもまだ知らない噺に出会える喜びよ。
無理はしないで、でもできるだけ長く高座にあがっていただきたい。願うのはそれだけ。