りつこの読書と落語メモ

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うたかたの日々

うたかたの日々 (光文社古典新訳文庫 Aウ 5-1)

うたかたの日々 (光文社古典新訳文庫 Aウ 5-1)

★★★★★

愛を語り、友情を交わし、人生の夢を追う、三組の恋人たち―純情無垢のコランと彼の繊細な恋人のクロエ。愛するシックを魅了し狂わせる思想家の殺害をもくろむ情熱の女アリーズ。料理のアーティストのニコラと彼のキュートな恋人のイジス。人生の不条理への怒りと自由奔放な幻想を結晶させた永遠の青春小説。「20世紀の恋愛小説中もっとも悲痛な小説」と評される最高傑作。

陽気に軽妙にキラキラ始まった物語が坂道を転げ落ちるように悪夢へと転じていくのが、悲劇的でもあり喜劇的でもある。
以前読みかけて半分ほどで挫折した本。軽さと残酷さがそのときは受け入れがたく感じたのだった。

深読みすれば幾らでも深読みできそうだが、素晴らしい演奏を聴くように美しい絵を見つめるように、ただただ物語に身を任せて物語をそのまま受け止めるほうが楽しい。
カクテルピアノ、水道から飛び出してくるうなぎ、そして肺の中で成長する睡蓮。

最後まで読んで「え?これってどういうこと?」と煙に巻かれ、そうか、うたかたの日々なのか…とタイトルとまえがきに戻る。
読むときの自分の状態で印象がガラリと変わる作品かもしれない。