晴れたり曇ったり
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/07/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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言葉数は少ないし声も小さくて、だけど心に響いてきて満ち足りたような寂しいような気持ちになる。
川上さんのエッセイはほんとに素晴らしいなぁ。すごくいい文章。私なんかがそんな風に言うのはおこがましいけど。
季節、食べ物、景色、人、本、創作、自分。ポツポツとテーマが変わるのがまた楽しくて、東京日記とはまた違った良さが。弱っている時に読むと少しだけ慰められる。しまっておきたい言葉がたくさんあった。
自分の内側をじいっと観察するのは、結構手間がかかるのです。「ま、いいや」と思って、誰かが言い出したやりかたをまねっこしたり、適当にうっちゃって忘れたふりをしたりしてしまうことが、わたしにもよくあります。
でも、それは、ほんとうはつまらないことです。だめだ、という教条的なものではなく、なんというか、美意識のように、「つまらないよ」と荒川さん(荒川洋治さん)は教えてくれるのです。
こどもを育てている時に、どうしてもうまく言えないことがありました。
(中略)
言えなかったのは、「この問題にいちばん必死になって取り組んでいるのはわたしなんだから、やいのやいの責任問題を言い立てるのはやめて」という言葉でした。
心の中でもやっと思っていること。これだけはと大切に思っていること。それをきちんと言葉にするのはとても難しくて、ついつい検索して似たようなことばを並べてしまう。
でもやっぱり自分で考えなければ。自分の言葉で表さなければ。そんなことを思ったのだった。