虫娘
- 作者: 井上荒野
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/08/27
- メディア: 単行本
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四月の雪の日。あの日、あたしは生き返らなかった。その夜、シェアハウスで開かれたパーティで、いったい何があったのか?悪意と嫉妬、自由と不自由―小さな染みがじわじわ広がり、住人たちは少しずつ侵されていく。ミステリー&恋愛小説。
これはまた荒野さんのなかでもとびきり嫌な話だなぁ…。弱っている時に読んだらものすごいダメージを受けそう。
シェアハウスの庭で全裸で死んでいた照。いったい彼女はどうして死んだのか。自殺だったのか他殺だったのか。いったいあの晩何が起きたのか。
死んでからも虫のようにふわふわと地上を彷徨っている照の目を通してシェアハウスの住民たちの行動が語られ、また彼ら一人一人の語りや行動から徐々に真相が明らかになってくる。
誰かを好きになる気持ちは尊いはずなのに、隠しても表しても虚しさしか残らないのはなぜなのだろう。
受け止めてもらえなかった愛情はねじれ執着に変わり、自暴自棄な行動はまわりを巻き込み憎悪を生み出す。
嫉妬や欲望をあらわにする生き方もしんどいけれど、死んだように生きることにも意味があるのかどうか。
登場人物、誰ひとり好きになれず共感もできないのだが、気持ちの悪い人たちの気持ちの悪い話と切り捨てることのできないモヤモヤが残っている。