りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

DVD発売記念落語会 瀧川鯉八 帝都大戦

11/15(土)、ミュージックテイトで行われた「DVD発売記念落語会 瀧川鯉八 帝都大戦」に行ってきた。
こちらの会もこの間行われたきく麿師匠のDVD発売記念落語会と同様、この日に買うとアウトテイクスという特別サービスのDVDが付いてさらにDVDにサインもしていただけるというので、朝日名人会が終わってすぐにウハウハと新宿に向かったのだった。

・鯉八「賢者タレ」
・鯉八「僕の兄さん」
〜仲入り〜
・DVD発売&サイン会

鯉八さん「賢者タレ」
DVD発売についての揺れ動く心を語る鯉八さん。DVDを作ってもらえる嬉しさと不安、揺るぎない自信と聞こえてくる悪口に傷つくナイーブさ。両方を持っていないと面白い落語はできないのかもしれないが、なかなかしんどいことであるよなぁ。
DVDには4作、CDには5作とかなりたっぷり収録されていて「100作持ってるベテランが入れる9作と、持ってる噺がそれほどない自分が入れる9作では重みが違う」。
確かに買う側にしたらうれしいけど、本人は大変だろうな…。と言いながら、やはり買う側にしたら入っていれば入っているだけうれしい。

「賢者タレ」は今回DVDを作成した中川原屋さんからのリクエスト。
初期に作った作品で全然もうやってなくてやってないのには理由があるのにやれって言うからやるんですけど。

鯉八クラテスの誕生のシーンから噺は始まる。
生まれた瞬間から言葉をしゃべる鯉八クラテスは明らかに「天才」なのだが、大きくなるにつれ周囲の子どもたちからは嫌われるようになる。
鯉八クラテスのところに友だちがやってくるのは宿題を教えてほしいときだけ。質問に丁寧に答える鯉八クラテスなのだが、褒められたときに見せるドヤ顔や態度がいちいち友だちの勘に触り、感謝されるどころかますます嫌われてしまう。

こういう噺は鯉八さんにしか作れない世界だよなぁ…。
ご本人はこれはもう忘れてくれ!みたいなことをおっしゃっていたけれど、一度聞くとなにか微妙に残る世界で、しばらくすると「賢者タレやらないんですか?」としれっとリクエストしてしまいそう。

鯉八さん「僕の兄さん」
あれ。もしかしてこの噺を聞くのは初めてかもしれない。
弟にお金を貸してくれと頼む兄。弟は兄さんはお金を貸しても遊びに使ってしまうからダメだという。なにか建設的なことに使うのなら貸してもいいよと言うと、兄は「わかった。じゃ貸してもらった金は貯金する」。
借りた金を貯金っていう発想がおかしいんだけど、それに反論できない弟もなんかおかしい。
この兄がいったいどういうふうに言葉を返してくるのかが予想できず、そこにさらに予想不能なアイスキャンディー屋が登場し…。
鯉八さんらしい不思議な価値観が勝利する噺。

2席のあとは、DVDの販売とサイン会。
サインをしていただく時に「お名前は入れますか」と聞かれ、「じゃ、ひらがなでりつこでおねがいします」と答えると、鯉八さんが「あ、あの…存じ上げております」。
ほえ??と思っていると「こういうこと言っていいのかな。あのブログ読んでます」と。
ひ、ひえーーーー。まままさかーー。
すっかり動揺して心の中でひぇぇーと叫びながら帰宅したのだが、しかし好きだと思っている噺家さんに読んでもらっているなんてこんなに嬉しいことがあるだろうか…。
ただのおバカなファンがぱーぱー書いているだけだけど、応援している気持ちが伝わったならほんとに良かったな。

新世紀落語大全 瀧川鯉八 (DVD+CD)

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