りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

スペース・ゼロB1寄席 vol.15 夢吉・鯉八・松之丞 三人会

11/13(木)、新宿のスペース・ゼロで行われた「スペース・ゼロB1寄席 vol.15 夢吉・鯉八・松之丞 三人会」に行ってきた。

・夢吉「饅頭こわい」
・松之丞「芝居の喧嘩」
・鯉八「やぶのなか」

夢吉さん「饅頭こわい」
まくらでは、今年の初めに豪華客船に乗っているお客さんに向けて毎日落語をやったという話。
大しけになって「部屋から出ないでください」という放送が流れる中、内線がかかってきて「夢吉さん、(落語の)準備をおねがいします」。
「え?部屋から出ないでくださいっていってるけど、落語はやるんだ?」
まあどうせ誰も来ないだろう、行くだけ行って「誰も来ないから戻ってください」と言われるのだろうと行ってみると、お客さんが一人だけ来ていて、仕方がないのでぐらんぐらん船が揺れる中でどうにか一席。

また自分たちにあてがわれたのが窓もない物置みたいな部屋なので昼間はデッキに出ているんだけど、そうすると話しかけてくるお客さんがいて、その中に品のいいおばあちゃん。明らかに「お客さん」と思っているらしく、「あちらに着いたらどこに行くんですか?」。
いやいやいや、自分は船で落語やって上陸することなく戻るだけですから!とも言いづらくて、胸に貼ってある「係りの人」とわかる名札をこれみよがしに見せると、「あら!ごめんなさい。間違っていたわ」とおばあちゃん。「乗組員の方だったんですね」。
「三笑亭」なんていう名前の乗組員がいるかい!

そんなまくらから「饅頭こわい」。テイトで見て大爆笑した夢吉さんの饅頭こわい。何が面白かったのかあとから全然思い出せなかったので今回は注意深く?聞いていた。
すごくおかしかったのが、最初にみんなで怖いものを言い合うところで、「〇〇が怖い」と言って「そうか、〇〇が怖いのか!」と言われると、「ええ、〇〇なだけに」とダジャレで上手に答えて、頭を下げる。「なにサゲを言いました、みたいになってるの?!」
これがめちゃくちゃおかしい。
中華料理が好きだっていうのも「ちゅかひょーり」って妙に空気が漏れちゃってたり、とにかく一つ一つがバカバカしく面白くて、これはもう何回聞いても絶対笑える。最高。

松之丞さん「芝居の喧嘩」
前から聴きたかった松之丞さんの「芝居の喧嘩」!
そう、これ落語で聞いていてイマイチなんでそういうことになるのかよくわからなかったのだ。江戸っ子だから喧嘩早い?ぐらい。
こうやって講談で聞くと、町奴と旗本奴がどうして憎み合うようになったのか、どういう緊張関係があったのかというのがわかって、なるほど…とようやく理解できた。

しかしこの講談をこんなふうに笑いどころをしっかり作って演じるというのは、松之丞さんならではなんだろうか。講談は女の入る隙のない世界だなぁといつも感じるのだが、要所要所で笑いが入るので疲れずに聞いていられる。
汗だくの熱演。面白かった。

鯉八さん「やぶのなか」
トリは鯉八さん。
前にでた松之丞さんが「鯉八兄さんが、笑いってもんを教えてやると息巻いていた」と煽っていたが、出てきた鯉八さんも「言っておきますが、私はあえてオーラは消しています」と自らの天才ぶりを強調。自分でぐいぐいハードルを上げるのが面白い。

「やぶのなか」は前に「コイコイ」で聞いているんだけど、ディスコミュニケーションの妙というか、分かりあえてないんだけどだからどうにか均衡が保たれるという鯉八さんらしい毒のある噺。
旦那が酷いんだけど、男のお客さんは旦那の独白に一番うけていたなー。
私は、悪気は無いけど金もない弟が好き。