りつこの読書と落語メモ

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ツヴァイク短篇小説集

ツヴァイク短篇小説集

ツヴァイク短篇小説集

★★★★★

ハプスブルク王朝が君臨するなか、芸術・文化に市民の情熱が異常に注がれる異色の大都会・ウィーンで育ったシュテファン・ツヴァイク。20世紀初頭のウィーンの雰囲気を漂わせる彼の作品10編を収録。うち9編は本邦初訳。

世界堂書店」に収められていた「昔の借りを返す話」が素晴らしく良かったので、じっくり読んでいこうと思っているツヴァイク
描かれるのは生真面目で頑なで幸せになれないことが運命づけられているような人たち。
常に自分の内側ばかり見つめているから誰かとわかりあえたりすることもないし、友達や恋人に間違った相手を選んでしまって一緒にいてもすれ違い続け常に孤独。
絶望や諦めを漂わせつつも、人間に対する温かい視線を感じる作品が多い。

時代も国も宗教感も違うのにいま読んでもまるで古びていない。
特異な人間を描いているにとても普遍的。正しいことが書いてあるわけではないけれど、正しくありたいと願う気持ちを抱かせてくれる。
これぞ文学だと思う。