りつこの読書と落語メモ

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ほどほど落語長屋

10/6(火)、北沢タウンホールで行われた「ほどほど落語長屋」に行ってきた。
一之輔師匠の無茶ぶられに行った時にチラシを渡され、チラシのセンスの良さと出演者の豪華さに「これはぜひ行きたい!」と飛びつき、チケットを買っていたのだった。
あとから、他にも行きたい落語会がこの日に集中していて、ちょっと「ちっ」と思ったものの、ほどほど…というよりかなり満足な会だったので、行けてよかった。

全員 トーク
春風亭一之輔「蝦蟇の油」
立川左談次「無精床」
桃月庵白酒「死神」
川柳川柳「大ガーコン」
全員 トーク

トーク
最初、白酒師匠と一之輔師匠の二人が出てきてこの会をやるにいたった経緯など。
なんでも白酒師匠と左談次師匠とこの会の主催者さんとで飲んだときに、こういうのやりたいねーという話になり、他人事で「イイデスヨー」と答えていたら、いきなりやることになったと。
川柳師匠、左談次師匠の二人+自分だけっていうのは嫌だ!と思い、もう一人若手をお願いしますと言ったら、一之輔師匠になった、と。
とにかく酒飲んで暴れるのが得意技のお二人。前座時代からさんざんそれは見ているので今回もどうなるか、と。
この後末廣亭のトリがあるから打ち上げは出ずに帰るという一之輔師匠に「戻ってきてもいいんだぜ」とささやく白酒師匠。
内心すっごい嫌なんだろうなー(笑)。でもさすがの毒舌白酒師匠も二人が袖にいたらそこまでクソミソには言えないようだ。

で、ここで舞台袖にいる左談次師匠に「そろそろいいですか?」と声をかけ「それでは!」と紹介しかかると、左談次師匠が「あ、まだだめ。あと5分ぐらい!」「え?あと5分?」
なんてやっていたら、川柳師匠の準備ができたらしくお二人が登場。
御年83歳の川柳師匠、「もうこれが最後」「生前葬」とみんな口が悪い。
時々左談次師匠が入れる合いの手がやたら面白くて(「命がけでガーコンやってる」「命かけてやるような芸か?」)大笑い。

当然のごとく川柳師匠が一番楽しみにしているのは会のあとの打ち上げ。
左談次師匠も昨年の夏、大阪でブラック+川柳+左談次の会をやったあとの打ち上げで、べろべろになって歩けなくなった川柳師匠の荷物も持ちつつ方にもたれさせた状態で歩いていったのが辛かった、と言いながらもそれでもなんかうれしそう。
面倒で迷惑な人と言いながらもやっぱり愛されてるんだなぁ…川柳師匠って。

一之輔師匠「蝦蟇の油」
川柳師匠の思い出といえば…と言って「まだ死んじゃいないですけど」と笑いながら、浅草演芸ホールでの思い出。
観客の頃から見ていて「すげーな、この人」と思っていた。なりたくはないけどああいうのいいなーって思っていた。
前座の時、東洋館で下働きをしていると川柳師匠が酔っ払ってやってきて、高座に出るなり客とケンカしてた。
客に「帰れ!」っていうと、客も負けてなくて「お前が帰れ!」
そう言われた川柳師匠がラッキー!と帰りそうになるのを前座たちが止めた。

そんなまくらから「「蝦蟇の油」。
最初の口上なんかは普通にやって、酔っ払ってからが酷い(笑)。
とにかく酔っ払い方が尋常ではないくらいすごくて、クスグリも満載でこれでもかこれでもかの爆笑編。
一時期一之輔師匠の落語会をアホみたいに通っていた時があってその時はちょっとこの爆笑落語に疲れてしまったのだが、久しぶりに見ると面白い面白い。やっぱりあんまり同じ人の会に通いつめちゃイケマセン。

左談次師匠「無精床」
昨年の大阪で酔っ払った川柳師匠を連れて帰るのが大変だったという話。
ふたり分の荷物を片手で持ち、もう片方には酔っ払って歩けなくなった川柳師匠を抱え、夜の大阪の商店街をふらふら歩いた。
全ての体重が左談次師匠の肩にかかり、さらに耳元でトランペットをやられるからたまらない。
で、今回やる噺ですけど、久しぶりにやろうと思って思い出そうとしたけど思い出せない。あれ?と思ったらもともと覚えてない噺だった。
といいながら「無精床」。確かに思い出し思い出しやっているような…?それでもところどころに入るブラックなクスグリも楽しく、左談次師匠らしい「無精床」だった。

白酒師匠「死神」
前座仲間で噺家の人気投票をしたことがあった。
そのとき、好きな噺家に選ばれたのが川柳師匠。でも嫌いな噺家部門でもトップは川柳師匠だった。 つまり抱かれたい男キムタクと抱かれたくない男出川、一人で二人を体現しているのが川柳師匠なのだ、と。
悪態や愚痴と見せながらも、結構気を使っている白酒師匠。
その後、いつもの小三治師匠の悪口を放ちながら「死神」へ。

白酒師匠の「死神」はまるまる太っていて明るく登場する。
「死んじゃダメだよ!生きなきゃ!」と明るく励まし「おいおい、おかしいだろ」と言われると「だって俺みたいなまるまるした死神が怖がらせようとしてみだめだろ?」。
最初は儲かっていたのに落ちぶれていく…というシーンはなく、ただお金に目がくらんで死神との約束を破る。
蝋燭を取り替えさせるところも、男が死神を恐喝し、「お前ってほんと…そういうやつだよな」と死神もしぶしぶ…。
こういう死神もありだなー。楽しい。

川柳師匠「大ガーコン」
ガーコンと大ガーコンの違いを白酒師匠が言っていた。ガーコンガーコン脱穀しているのを、隣で中腰になった妻が稲を手渡しする絵があると「大」になるそうな。なるほど。
打ち上げに行きたいからあっさりかと思ったらそんなこともなくたっぷりと。
寄席でみていると、反応しない客を怒ったりすることも多いので、ドキドキしながら見ていたのだが(ど真ん中の席だった)この日の川柳師匠はいたってご機嫌。
反戦というわけでもなく、その逆でもなく、とにかく歌が好きで他に楽しみがなかった少年がその時代時代に流行った歌を夢中になって聞き歌う。
たくましいなぁという思いと、いろんな国の本や音楽を自由に聞けて、好きなことを言える世界でありますように…と思わずにはいられなかった。