りつこの読書と落語メモ

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闇の中の男

闇の中の男

闇の中の男

★★★★

祖父と孫娘が、眠れぬままに語る家族の秘密と歴史―ポール・オースターが21世紀に生きる人すべてに贈る、闇の中の光の物語。全米各紙でオースターのベスト・ブック、年間のベスト・ブックと絶賛された、感動的長編。

はっと気が付いたら武器も持たずになんの装備もしないままに戦場にいる。
なぜ自分がここにいるのかどんないきさつがあったのかわからないまま追い詰められある男を殺すことを任命される。逃れることはできない。
目が覚めて「よかった、夢だった」と思ったのも束の間、殴られた歯は折れていて、彼らは「現実世界」まで追いかけてくる。

人間の想像力が誰かを殺すことになるのか、あるいは想像力の欠如が戦争や殺人を起こさせるのか。実際に、悪夢のような世界が現実になりつつある今。動けない体で自由になるのは想像力だけ。
愛する人のことさえ守れない自分に世界を救うことなどできるわけもない。
ただ身をすくめて何かが過ぎるのを待つだけ。
いっそこんなふうにひと思いに一撃で殺される方が幸せなのかもしれない。