りつこの読書と落語メモ

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予告された殺人の記録

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

★★★★

町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか?閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた幻想とも見紛う殺人事件。凝縮されたその時空間に、差別や妬み、憎悪といった民衆感情、崩壊寸前の共同体のメカニズムを複眼的に捉えつつ、モザイクの如く入り組んだ過去の重層を、哀しみと滑稽、郷愁をこめて録す、熟成の中篇。

防ぐチャンスはいくらでもあったのに遂行されてしまった殺人。
閉鎖的な田舎町で渦巻くのは貧富の差による嫉妬、差別、妬み。
何を「正義」とするのかは絶対的なものではなく時代やその場の「空気」によるものだということを目の当たりにする怖さ。

悲劇なのに喜劇的でもあるのがマルシアらしさなのかそもそも人間の営みというのはそういうものなのか。
思いのほか体温の低い作品たちに「ガルシア=マルケスってこんなんだったっけ」と少し戸惑うのだが、とても評価の高い作品なのだな…。ううん…。