りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

らくご街道 雲助五拾三次 ー強請ー

8/4(月)、日本橋公会堂で行われた「らくご街道 雲助五拾三次 ー強請ー」に行ってきた。

怪談牡丹燈籠より
「栗橋宿」
〜仲入り〜
「関口屋」

会場に入るといつもより暗い。見れば高座の横に燭台が。
開演の前の放送で市助さんによる「牡丹燈籠」のあらすじが語られたのだが、声がとても落ち着いていて高座で見る市助さんと一致しないんだよな、イメージが…。(声だけ聞いてると、背広を着た落ち着いたおにいさんしか浮かばない)
「伴蔵(ともぞう)」を「はんぞう」と読んでいて、気がついたお客さんがくすくす。
途中で何事もなかったかのように「ともぞう」に変わったのもご愛嬌。

「栗橋宿」
悪党が悪党になるのは何がきっかけなんだろう。
ここに出てくるおみねも伴蔵も最初から悪党だったようには思えない。
それだけに、このあといったいどういう行動に出るのかが予測できなくて、まんまと騙されてしまう。
幽霊から奪った金を元手に商売を始めた伴蔵とおみね。金に余裕ができた伴蔵は遊ぶようになり、お国に夢中になる。お国も夫平左衛門を自分の情人である源次郎と殺し村を逃げてきている女。
お国のことを知ったおみねが伴蔵を責めて、自分たちがしてきた悪事を喚き始めると、伴蔵の中に殺意が目覚める。 金が人を狂わせるのか、あるいはもともと何かが欠損していた人間だったのか。

店子にとりついて悪事をばらすおみねの執念も恐ろしければ、そこまでさせてしまう伴蔵も恐ろしい。
いかにも怪談らしい噺。

「関口屋」
「栗橋宿」では非道な伴蔵に腹が立ったのだが、だんだんと本悪党らしくなってくると、見ていて逆に楽しくなってくるのが不思議。
そして伴蔵と再会する幇間医者の志丈の造形がなんともいえず落語的で楽しい。
伴蔵の悪事を知っても逃げ出すでも訴えるでもないのだから、志丈も相当な悪党なのだが、軽くて調子が良くてなんともいえず魅力的。
雲助師匠はこういう噺でもちゃんと笑いどころを作ってくれて、メリハリがあって飽きさせない。すばらしいなぁ。

こうなってくるともう面白くて面白くて続きが気になるのだが、途中で終わり。寂しい。
噺が終わると、蝋燭を芯で消すのがなんとも風情があってよかった。