りつこの読書と落語メモ

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「弱くても勝てます」: 開成高校野球部のセオリー

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー

★★★★★

フツーにやってたら勝てるわけがない。「弱者」はギャンブルを仕掛けるしかないんだ! 練習時間、グラウンド、施設――すべてが不十分! それでも東大合格者数1位の超進学校は、7年前に東東京大会ベスト16、今年もベスト32に勝ち進んだ。守備より打撃、サインプレーなし、送りバントもしない。どさくさで大量点を取って打ち勝つべし! ――秀才たちが辿りついた結論は、高校野球の常識を覆す大胆なセオリーだった。

面白かった!
弱くても勝てるとあるから、とにかくその頭脳を活かして綿密なプレーを重ねて甲子園を目指すサクセスストーリーなのかと思ったら、そんなことはないのである。
生徒たちに「甲子園に行きたいか?」と聞いても「行けたらいいと思いますけど」と心細い答え。
そこには、甲子園というのは下手くそな自分たちが行けるようなものじゃないという自己認識と、血の滲むような練習を重ねて甲子園を目指している学校に対しておこがましいから「目指している」なんて言えないという遠慮がある。
また熱血指導の青木監督にしてもあくまでも目指すのはドサクサ野球。普通にやって勝てるわけないんだから異常なことをやろうと、実にサバサバしている。

それにしてもよくぞこれをドラマにしたなぁと思う。
あのドラマを見ていてとにかく生徒たちが可愛いのと、監督の言葉が独特でそこが面白かったのだけど、これを読むとその部分はフィクションではないことが分かる。
頭のいい子が冷静に自分を分析して、だけどそれがプレイに生かされるわけでもなく結果も出たりでなかったりなのだけれど、彼らにとってこの経験がとても貴重なものであることが読んでいるとよくわかる。
また、彼らのことをよく理解して同じ方向を見ているこの監督がいれば大丈夫なのだろうと思える。

作者のスタンスがまたたまらなくいい。(ドラマではうざかったけど…)
「大丈夫か?」と心配しつつ、「いやしかしやってくれるかもしれない」と期待しつつ、「この子たち面白いなぁ!」と楽しんでいて、それが読んでいる側にも伝わってくるので、読んでいてウキウキしてくる。
ノンフィクションはあまり読まないんだけど、この著者の作品だったらもっと読んでみたいな、と思った。