りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治一門会

7/24(木)、北とぴあ・さくらホールで行われた「柳家小三治一門会」に行ってきた。

人間国宝になってから見る小三治師匠。でもきっとそのことには一言も触れないんだろうなぁ、そんな気もしていた。
会場はやはりなんかいつもとちょっと違う雰囲気。
国宝が出てくるぞ、みたいな。おれたち人間国宝を見られるんだぜ、みたいな。
私にとったら好きな人はみんな宝だから、名誉ある賞を取るまえから小三治師匠は宝物なんだけどね(ぽっ)。それでもこの期待に満ちた会場の雰囲気にはわくわくしてくる。

・小はぜ『たらちね』
・三三『笠碁』
〜仲入り〜
・そのじ 寄席囃子
小三治『死神』

小はぜさん『たらちね』
小はぜさんも大好きな前座さん。すっきりしていて丹精できちんとしていてすごくいい。

三三師匠『笠碁』
池袋演芸場にいかにお客さんがいないかというまくら。
最近はそんなこともなくなったけど、自分が二つ目ぐらいの頃はお客さんが一人だけというようなこともあった、と。そんなときはもうその人に逃げられないようにやるから決してお客さんから目を離さない。かみしもも切らない、というのがおかしい。
まくらでお客さんを大いに笑わせてから『笠碁』。これがもうめちゃくちゃよかった。私この噺本当に好きなんだよなぁ。

おじいさん同士の意地の張り合い。
喧嘩をしてもう二度と来ないと啖呵を切ってしまった手前、行くに行けないけど退屈で仕方がなく、我慢できずに雨の中、笠を頭にかぶって出かけていくおじいさん。
あいつも意地を張ってないで来るがいいじゃないかと思いながら、することがなくて退屈でいらいらして家の者や番頭に当たるおじいさん。
笠をかぶったおじいさんがちらっちらっと店を見ながら歩いていくところが大好きなんだけど、三三師匠はそれを店にいて、ちらっちらっを見守る方の仕草で表現していて、上手だなぁーーと思った。
小三治目当ての客をぎゅっと引きつけたのはさすがだなぁ。

小三治師匠『死神』
人間国宝!」の掛け声ににこりともせずいつものようにぷーっと頬を膨らませての登場。
三三師匠の太鼓を「うまくなった」「うまいなぁ。あれはかなりうまい」と手放しで褒めた。
「来たばかりのころはもちろん全然うまくなかったんですよ。あいつ、いつの間に…。二番太鼓もあれだとちゃんとてんつくてんてんって聞こえますね。」
「普段そんなに顔を合わすこともないので、こういう会でそういう姿を見るのは新鮮で楽しい」
小三治師匠にあんなふうに褒められたらうれしかろうなぁ…。

人間国宝については一言も触れずに、病気自慢(笑)。
暑い日は頭がぼーっとして自分でも何を言ってるかわからなくて落語どころじゃない。今日はそんな日です、と笑わせて「死神」へ。

小三治師匠の「死神」は江戸川落語会の時に一度聞いているんだけど、やっぱりいいいなぁ…。
何がいいって、この男が能天気で軽くていい。そして死神もちょっと怖いけどちょっとかわいいというか茶目っ気がある。
「死神仲間の申し合わせ」というセリフが何度か出てくるんだけど、だからもう決まってるんだ、しょうがない、という明るいあきらめが漂う。
ちょっと怖いけど、どこかおかしい。やっぱり小三治師匠の「死神」はいい!

人間国宝については一言も触れなかったけれど、それでもなんかいつも以上に丁寧な高座で落語をやる喜びにあふれているように感じられたなぁ。よかったなぁ。