りつこの読書と落語メモ

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この世界の女たち アン・ビーティ短篇傑作選

この世界の女たち アン・ビーティ短篇傑作選

この世界の女たち アン・ビーティ短篇傑作選

★★★★★

初期代表作「燃える家」から2000年代の傑作まで、日常に潜む「静かな物語」10篇を収録。アメリカを代表する女性作家の傑作集。

ミニマリズムという単語が流行った頃、夢中になって読んだアンビーティ。
久しぶりの新刊に懐かしい!と飛びついた。

改めて読むと、こんなに胸の痛くなるような苦い物語だったのか、と驚く。
「この世界の女たち」を読んでいると、男〜と女〜の間には〜深く〜て暗〜い川があるのだよなぁと思わずにはいられない。
義父との会食で漂ってくる暴力と破壊の予感は、その後の女だけの散歩で決定的なものとなる。
見ないように感じないようにしていても耳に入ってくるサイレンの音。ぞぞぞ…。

白い夜に」
最愛の娘を病に奪われた夫婦と、問題ばかり起こす娘に振り回されて疲弊する夫婦。
長い付き合いのこの2組の夫婦がディナーパーティで顔を合わせたあとの帰り道。
どんなに過酷な出来事があったとしてもその後も生きていかなければならない。誰とも関わらず生きていくことなんかできない。
悲しみを受け止めやり過ごしてきた二人の苦しみが垣間見られるような描写が見事。

二十代の自分にこれが分かったのか?背伸びしてたのかもなぁ、とも思ったけど、それでもいいじゃないか。全部はわからなくてもそこに感じるべき何かがあると感じた、自分のその嗅覚を大事にしたいと思う。
とても良かった。辛い話が多かったけど不思議と慰められた。そして最近の作品には渋みが増してきていてすごくいい!
また読み返したくなった。アン・ビーティ。

そして翻訳がいい!見ればわたしの好きな作品ばかりじゃないか!翻訳されてる作品。
久しぶりに翻訳家読みをしたくなった。