りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

チャリング・クロス街4番地―書物を愛する人のための本

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

★★★★★

ニューヨークに住む本好きの女性がロンドンの古書店にあてた一通の手紙から始まった20年にわたる心温まる交流が描かれた往復書簡集。書物というものの本来あるべき姿、真に書物を愛する人々を思い、ささやかな本の存在意義の大きさを知ることになる。

本好きの心をくすぐる書簡集。
ニューヨークに住む本好きの女性ヘレーン(著者)が、ロンドンの古本屋にほしい本のリストを送ったことから始まった、20年間の交流。
ヘレーンの手紙は時に生意気で(ツンデレ?)ユーモラスだが、古書店の店主フランクの手紙はいかにもイギリス紳士らしく慇懃。噛み合ってないようでいて息があっていてお互いにかなり早い段階からわかり合えているのがおもしろい。
店主の控えめすぎる態度がもどかしくてこっそり手紙を書いてしまう他の店員。その手紙にヘレーンが返事を書き、また新たな交流が始まっていく。

戦後のイギリスが物資が不足していることを知って少しでも生活に潤いや楽しみがあれば、と卵や缶詰を贈るヘレーンの心意気と、その気持ちを受け止めてお礼をしたためる古書店の人たちや奥さん、お隣さん。
ヘレーンの友だちがこの古書店を訪ねて行って驚く程の歓迎を受けたというエピソードにほろり…。
このやりとりが20年も続いたことにも驚くけれど、やはりヘレーンには1度お店を訪ねて欲しかった!という気持ちになる。
会いたい人には会わなくちゃ。人生は短い。