りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第十九回柳家小満ん在庫棚卸し

7/5(土)、橘家で行われた「第十九回柳家小満ん在庫棚卸し」に行ってきた。
これで3回目。さすがにもう迷わない(えへん!)。
座るのが苦手なのでできれば端の席で寄りかかって足を伸ばして見たいといつも思うのだが、行ってみるともうだいたいみなさま陣取る席は決まっているようで、いつも真ん中になってしまう。
それほどぎゅうぎゅうではないので右に足を寄せてみたり左にしてみたり体育座りにしてみたり…行儀が悪くて恥ずかしいのだが、どうにもこうにも…。

・『ろくろ首』
・『猫久』
〜仲入り〜
・『種の起源

『ろくろ首』
ろくろ首の小噺から。
ある所に女のろくろ首が出ると聞いた男たち。オツな女だと聞いて酒に肴を用意してのこのこ出かけていく。
毛氈を敷いてちびちび飲んでいると夕暮れ時になって女のろくろ首が出てくる。
「おお、確かにオツな女だ」「ちょいと呼んでみようじゃないか」
あなたの分もお酒がありますからどうぞと言うと、「あら、いいんですの?」と首を伸ばして飲みに来るろくろ首。
「へぇたいしたもんだねぇ」「いいねぇ。それだけ首が長ければさぞや酒もうまいでしょう」と言うと、「ありがとうございます。そのかわり、おからを食べるときは味気ない」。

ろくろ首でも「いい女」と聞けば喜んで出かけていく男たちのようすがなんともいえず楽しい。
そんなまくらから「ろくろ首」。
おじさんに呼ばれた与太郎。兄貴がお嫁さんをもらったのが羨ましくて自分もお嫁さんがほしいと言いたいのだが恥ずかしくて言い出せない。
「だからさ、あたしもさ。およめさんがもにょもにょ…」
最後のところが聞こえないぞ、ちゃんと言えと言われて最後は「およめさんがほしいーー」と叫ぶのがおかしい。
あちらのお屋敷に行ったら乳母が非常に丁寧だからちゃんと受け答えをしなくちゃならないぞと言って、おじさんと挨拶の稽古。
若旦那っぽく鷹揚に返事をしろと言われてもまるでわからない与太郎におじさんが、だったら毬で合図を決めるからその通りにしろ、と言う。
乳母を前にして早速やってみるのだが、お屋敷で飼われている子猫が毬にじゃれついて、与太郎の返事がおかしなことに。それに気づいたおじさんがものすごく動揺するのがまたおかしい。
小満ん師匠のこういうバカバカしい噺、大好き。

『猫久』
初めて聞いた噺。
穏やかでおとなしいので「猫久」と呼ばれる久六が、ある日何者かに腹を立てて帰ってきて、女房に刀を出せと言う。
女房は刀を出すと3回押しいただいて猫久に渡す。猫久は刀を抱えて家を飛び出す。
それを見ていた長屋の向かいの夫婦。なんだあれは?と笑う。
旦那の熊が床屋に行ってその話を面白おかしくしていると、「詳しく聞かせろ」という声が。
見れば、50を過ぎた侍で、恐る恐るその話をすると、笑うお前がおかしい、猫久の女房はできた女房だという…。

どういう噺なのか知らなかったので、猫久が殺しをしに行くのをおどろおどろしくする噺なのか、あるいはオチのある噺なのかとどきどきしながら聞いていたのだが、侍から高尚なことを言われて感心した熊が家に帰って言われた通りにやってみるんだけど言い間違えておかしなことになる、という噺だった。
聞いたままにやってみる熊と、まるで食い違っているんだけどちゃんと相手になっている女房の会話が楽しい。

種の起源
聖書の創世記からノアの方舟ダーウィンの進化論、そして宇宙論にまで至るという、なんとも不思議な噺で、小満ん師匠らしい創作。落語というよりは語り?ぽいのだけれど、時々落語っぽくなるのが面白くて、口をぽかんとあけたままにやにや笑いが抑えられず楽しく聞いた。
この会に来るのは小満ん師匠ファンばかりだと思うのだけれど、心地よい語りにぐっすりお休みになっている方もいて、それも含めて落語っぽくて(最前列ど真ん中で最初から最後まで寝るか?!とか)面白かった。