りつこの読書と落語メモ

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この本が、世界に存在することに

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第132回直木賞受賞作家最新短編集。本への愛情をこめて角田光代が描く新境地!泣きたくなるほどいとおしい、ふつうの人々の“本をめぐる物語”が、あなたをやさしく包みます。心にしみいる九つの短編を収録。

ああ、素敵。
現実があまりにも強烈だと、本を読む意味なんかあるのかなとおもうときがある。読んだからといって頭がよくなるわけでも答えが見つかるわけでも強くなれるわけでもない。
自分が現実に追いつけなくて受け入れられないのなら、世間から遠く離れてしまっているのなら、本なんか読んでて何になるの?って思うときがある。
ひとつ前に読んだ本に敗北してしまったので、励ましてもらいたい気持ちで読んだこの本、まんまと励まされた。

本に呼ばれること、本の趣味が一緒なら一生一緒でいられると錯覚していたのに本を読まない女に恋人を取られてしまうこと、この本が世界に存在することに感謝!と叫びたくなること…本にまつわる物語はどれも魅力的でぐっとくる。
本への関わり方でその人物が立ち上がってくる、この作りはすごい。小さな物語たちだけどとてもいい。元気が出ました、ありがとうございました、と本を閉じた。