りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

みなと毎月落語会 柳家三三独演会

6/17(火)、麻布区民センターで行われた「みなと毎月落語会 柳家三三独演会」に行ってきた。

立川志らべ「あくび指南」
柳家三三「夏泥」
柳家三三「提灯屋」
〜仲入〜
柳家三三蜘蛛駕籠

志らべさん「あくび指南」
あくびのお稽古に哲学的な意味合いを求めたり、独自のくすぐりがたっぷりでいかにも志らく師匠のお弟子さんっぽい落語。
小三治師匠の「あくび指南」にあるような、こんな怪しげなお稽古を教える師匠が風流で粋だったり、教わる方もがさつなくせに憧れる気持ちがあったり、そういう味は一切なし(笑)。これはこれでありだとは思うけど、面白さを追求するならもっともっと面白くしてほしなぁ、と思ったり。
「あくびの稽古」と言われて「え?うつみけいこ?いやお前さんは若いから竹下景子のほうか」ってなんともいえず昭和な風味…。
そして何度も「アウェイ」と言っていたのは、三三ファン=本格好みと思っているからなのかなぁ。笑いが少ないのはアウェイ=客のせい?ホームだともっとうけるの?気持ちはわからないではないけれど、なんだかな…。

三三師匠「夏泥」
前にあがった志らべさんが汗だくだったという話から、落語協会一の汗かき噺家白酒師匠の話に。白酒師匠が何年か前に一度人間ドックに行ってちゃんと検査してもらうと言い出し、甚語楼師匠、左龍師匠と3人で一日かけて検査をしてもらった。その結果、いたって健康でなんの数値にも問題がなかった、と。あんなに太っててなにも問題がないとは、と少し不服そうな三三師匠がおかしい。
「夏泥」、入った泥棒がお人好しで「ちゃんと働かなくちゃいけねぇ」と説教して、事情を聞いて袂から小銭を出してくるのがなんとも落語的で大好きな噺。泥棒に入られた方にも悪気はなくてひたすらに無気力で、でももらえるとなって元気が出てくるところが楽しい。
入ってきた泥棒が畳が外してあって落ちるところなんかがとてもうまくてほぉ〜っとなった。

三三師匠「提灯屋」
鈴本の近くで菊之丞師匠と会った話。
たまご色の素敵な着物に煙草入れをぶらさげて実にかたちがよくて「よおよお兄さん!」と思わず声をかけてしまった。
コーヒーをいっぱい飲んでから楽屋に行くとそこにいた菊之丞師匠。聞けば声優の学校で落語を教えてきた帰りなのだとか。
落語は人物を演じ分けるけれどそれをわりとフラットにやる芸なのだけれど、声優さんたちはおかみさんをやれば「あらぁお前さん待っておくれよぉ」と甲高い声、子供をやればキンキン声となりきってしまう。
話を聞いて楽屋は大爆笑だったのだが、三三師匠は菊之丞師匠がおかみさんをやる声優さんのことを「萌えキャラの声」と言ったのがツボで、菊之丞師匠の口から「萌え」というセリフが出るとは…!!とおかしくてしょうがなかった、と。
そんな話から、いつかガンダムのセリフだけで「初天神」をやってみたいとちょっとやってみるも、「わからない人にはなんのこっちゃ?ですね」と。
ジブリのセリフだけで落語とか…そんなことも言っていたので、ぜひいつか見てみたい!

「提灯屋」いかにも落語らしい噺。
字の読めない男たちが集まって読めないチラシを前にああだこうだと想像で話しているのがなんとも楽しい。チンドン屋が女だった!とか「おニ階にごあんな〜い」とか少ない娯楽を楽しもうという空気が伝わってくる。
提灯を持っていかれるにつれてどんどん疑心暗鬼になっていく提灯屋が気の毒だけどおかしい。

三三師匠「蜘蛛駕籠
あーーこれは以前会社にいたおじさんが落語好きで屋形船でその人がやって、長いわ面白くないわしつこいわでつまらねぇ!!!と思った噺。
そりゃそうだよ。難しいでしょ、この噺は。それを落語を聞いたことがない人たちの前でしかも逃げ場のないところ(船の上)でたっぷりやっちゃうんだから、あのおじさんがどんだけ俺様だったかがわかるってもんだわ…。
あの時「落語ってつまんねぇ!!」と思った私が週に3回も4回も落語に行くようになって三三師匠の「蜘蛛駕籠」で大爆笑してるのだから、人生ってわからない。

何度も話がループする酔っぱらい、とにかく威勢良く踊るだけの男、こっそり二人で乗る男…駕籠屋と男たちの会話が楽しく、最後は籠のそこが抜けて大笑い。楽しかった。

ところでこの会場は初めてだったのだが、2列ごとに段差がある作りになっていて高座も低いので非常に見にくい。
私の前に座った女性ふたりが特段座高が高かったわけではないのだとは思うのだが、普通に座ってると全く見えない。仕方なく、二人の隙間から首を曲げて見ていたのだが、彼女たちも結構動くしそうするとまた全然見えなくなるしで、かなり疲れてしまった。
もうこの会場では見たくないや。