ポーカー・レッスン
- 作者: ジェフリーディーヴァー,Jeffery Deaver,池田真紀子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/08/06
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (21件) を見る
ドンデン返し×16――名匠の傑作短編集
強烈なサスペンスで読者を捕え、見事に騙してみせる――現代最高のミステリ作家が贈る極上の驚愕。リンカーン・ライム登場作も収録。
さすがディーヴァーは短編もサービス精神旺盛。
必ずしも正義は勝つでないところやスッキリ解決でないところも含めて楽しい。
「ウェストファーレンの指輪」
無傷の窃盗犯グッドキャッスルがついにスコットランドヤードから目をつけられる。
科学技術を捜査に導入し始めたスコットランドヤードは、グッドキャッスルの靴から落ちた馬毛や塵から、犯人は家具か骨董の商いを行っているものだろうと目星をつけたのである。
追い詰められたグッドキャッスルが次の一手を打ったとき、彼のもとを訪れたのはなんとホームズとワトソン!
悪党とホームズの対決の結末は…。
なんともまあホームズが出てくるとは。しかもこの結末。ぶふっ。
「生まれついての悪人」
3年以上ひとことも言葉を交わしていなかった娘が久しぶりに訪ねてくると連絡が入り、動揺を隠せない母。
かわいかった娘が悪くなってしまったのはいつからだったろうか。十分に手をかけて愛情を注いできたはずなのに…。
不安な心を鎮めるように針仕事をしていると、ついに娘がやってきて…。
これはもう短編ならではという展開。表と裏がひっくりかえる瞬間の切れ味の鋭さといったら。素晴らしい。
「一事不再理」
どんな証拠があったとしてもかなりの高い確率で無罪を勝ち取ってきた有能弁護士。
明らかに「クロ」とわかっていても金を積まれれば断らない。手段を選ばず弁護をし、無罪を勝ち取ればこっちのもの。なぜなら「一事不再理」という法律があって一度無罪の評決が下ったら同じ容疑では二度と起訴できないからだ。
こんなことがあっていいのか…と複雑な気持ちで読んでいると、驚きの結末が待っていて、おおおっ!!と。
ディーヴァーらしいといえばディーヴァーらしいのだが、スカッと爽快。
「恐怖」
これも短編ならではの展開で、巻末にディーヴァー自身によるこの作品の解説もありというサービスぶり。
手の内を明かしても十分面白いというのがディーヴァーのすごいところだなぁ。
リンカーンライム物も入っていてファンとしてはうれしかったが、やっぱりこちらは長編でたっぷり読みたいかな。