りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

瀧川鯉八独演会@らくごカフェ

5/11(日)、らくごカフェで行われた瀧川鯉八独演会に行ってきた。

・鯉八「天才」
・鯉八「都のジロー」
・百栄「完全試合
・鯉八「春眠」

鯉八さん「天才」
一人で会をやったことはあるんですけど「独演会」と銘打ったのは今回が初めてなんです、という鯉八さん。
何かやらなければいけない、どうにかしなければいけないということを考えて、気がつくと布団をかぶって寝てしまう日が続いていたけど、夕べようやくある境地に達しました。それは「ま、いいや」。
そんなまくらから「天才」。
うーん。もうほんとにたまらない、この世界。斜めしたから見上げる視線。思っているより半テンポぐらい早い受け答え。文学的というか屈折しているというか予想を裏切るというか。
新作落語を聞くと「これって落語?」と思うことも多いのだが(特に演劇っぽい噺だと落語でやる意味はあるのかな、と)、会話だけで楽しいという意味でも鯉八さんの新作は落語だなぁとおもう。

鯉八「都のジロー」
噺家が闇夜にコソコソ」見てますか?というまくらから「都のジロー」。
弟に偉そうに話をしていた兄が飲み会に誘われて酒は好きだ、飲む席も好きだ、喜んで行くよというのだが、その飲み会に都に出て行ったジローが来ると聞いて顔色を変える。
憧れの都に出て行ったジローをどんな顔で迎えればいいのだ。蔑まれるのなんて嫌だ。都の話なんか聞きたくないという。
劣等感、嫉妬、虚栄心。そんな屈折した感情を落語としてちゃんと昇華させているのが凄い。面白かった。

百栄師匠「完全試合
値上げしたとたん入りが半分になった勉強会とか自虐的な話をするのだけれど不思議といやな感じが全然しない百栄師匠。
「僕の会にもよく来てくれるお客様とかいらっしゃって本当にありがたいんですけど、こうやって見ると…こんなにお客さんっているんだなぁと思いますね」には大笑い。
ダルビッシュ完全試合をしそこなった話から「完全試合」。これがもう最高に面白かった。
普段は中継ぎでたいして活躍もしていない投手が気がついたら六イニングまで完全試合
これはもしかして完全試合になるかも…とパニック状態のピッチャーに励ますキャッチャー。それを台無しにするような発言を繰り返す監督。
斜め目線の鯉八さんに対して直球勝負の百栄師匠という感じでとても良かった。

鯉八さん「春眠」
魚の骨が喉に引っかかった男がもうひとりの男と会話をしている。
「魚の気持ちになったことがあるか」と聞かれ「ああ、あるよ。あるに決まってるじゃないか」。
なんだかよくわけがわからないんだけど無性におかしい。あとからどんな噺だったっけと思い出そうとしても断片的にしか思い出せないんだけどなんだか妙な充実感。
また見たい。