りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第8回瀧川鯉昇独演会『・・・・・・・・・』 道楽亭

4/21(月)、道楽亭で行われた第8回瀧川鯉昇独演会『・・・・・・・・・』に行って来た。
鯉昇師匠をこんな小さなスペースで見られる機会はめったにないのでうはうはと申し込んだのだが、みな考えることは同じようで、開場後10分過ぎぐらいに行ったら、すでに席はぎゅうぎゅう状態。今まで見たことがないくらいの混みようなのだ。
どうにか座ったのだが、前の席との隙間がほとんどなく足の置き場がない。仕方ないので少し斜めを向くようにして足の置き場を作ったのだが、それでもぎゅうぎゅう。
何人入ってる?と数えてみたら50名。まさに満員御礼であった。

・鯉昇「かぼちゃ屋
・鯉昇「刑務所桃太郎」
〜仲入り〜
・鯉昇「餃子問答」

かぼちゃ屋
そんな熱気の中、いつものようにふわっと登場の鯉昇師匠。
高座に上がる時に天井を気にする様子だけで笑ってしまう。
最近痩せた?と聞かれるんですけど、体重は2キロほど減っただけで体調的には別段変わったところはないんです。
実はもうかなり昔のことですがある人体実験が行われまして私はその論文を見させてもらったことがあるんですが。それはどういう実験かといいますと、会社の中でいわゆる出世頭といわれる男を実験台にしましてね。最初に念入りに身体検査をするわけです。そうしたところ何一つ悪いところはない。それを確認した後に、受付嬢に毎日朝晩「顔色が悪いですけど大丈夫ですか?」帰りには「お疲れ様でした。…お大事に。」と言わせる。
すると1週間後に検査をしてみると、潰瘍のようなものが内臓にできていた、というんです。
つまり、誰かを病気にしたかったら、「痩せましたね」「具合悪そうですが大丈夫ですか」そう声をかけるだけでいいんです。
これはちゃんと論文にして発表もされていまして、素晴らしい研究結果だと評価されたのですが、しかしやり方が酷い、という結論になりました。

またまた〜。もう絶対嘘でしょう〜。という鯉昇師匠のまくら。大好きだ。
私は苦手な噺が多くて、まず若旦那ができない。それから女が出てくる噺もだめ。それに与太郎。これも苦手。そうやって消去法で行った結果、このような芸風が出来上がるのです。
そんなまくらから「かぼちゃ屋」。

いやぁ楽しい〜。 ちょいちょい鯉昇師匠テイストのクスグリが入るのがたまらない。
一番笑ったのは、原価で売っちゃダメだと言われてもう一度同じかぼちゃを売りに路地に入って行った与太郎。かぼちゃの値段を聞いてさっき売ってくれた親方が「なんでさっきより値段が上がってるんだ?」と聞くと、与太郎が「え?…えっと、TPP?」

「刑務所桃太郎」
落語はもう無責任に話しているので、矛盾点があっても「ま、そういうものか」と聞き流してもらいたいんですが、中には「オチの意味がわかりません」「あのあと結局どうなったんですか」と聞いてくるお客さんもいらっしゃる。
その後どうなったかは想像にお任せします、ということなのですが、結構そう聞かれることがあるので考えてみました。
といって「刑務所桃太郎」。明日判決が出るから心配で眠れない受刑者が監視官にお話をしてくれとせがむ、という話。これがもうおかしかった〜。
そうか、こういう新作的な精神に惹かれて、新作派の噺家さんが鯉昇師匠のところへ入門するのだね。

「餃子問答」
これもめちゃくちゃ面白かった。
鯉昇師匠の「蒟蒻問答」は以前テレビで見たことがあったのだが、蒟蒻だけでも面白いところが地元浜松の名産ということで「餃子」になっていて、そのゆるさとばかばかしさが最高だ。
どんなにぎゅうぎゅうでエコノミー症候群になったとしてもやっぱりまた行きたい、道楽亭のこの会。