りつこの読書と落語メモ

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横浜にぎわい座4月興行 柳家小三治独演会

4/15(火)、横浜にぎわい座で行われた「横浜にぎわい座4月興行 柳家小三治独演会」に行ってきた。
にぎわい座は初めて。
ちょっと迷ってギリギリの時間になってしまったこともあって焦って別のチケット(小三治師匠の志木で行われる公演)を出してしまい、席につこうとしてそのことに気づき、あわてて半券を探してもらうというドタバタ。
もぎったチケットを漁ってあとから届けてくださった係りの方、本当にありがとうございました…。

柳家福治「安兵衛狐」
柳家小三治初天神」 
〜仲入り〜
柳家小三治禁酒番屋

福治師匠「安兵衛狐」
福治師匠はこれで3回目。顔が旦那のおとうさんに似ていて他人とは思えない…。
骨見に行って骨に酒をかけて供養をしてやると女が訪ねてきてこれが幽霊だと分かって、最初は追い返そうとするのだが、よく見るといい女なもんだから、「じゃちょっと試しにやってみますか」という話になるところで、「私が師匠の家を訪ねて行って言われたように」というところに反応してしまった。
小三治師匠に「じゃちょっと試しに(噺家)やってみますか」って言われたんだ、福治師匠…。 小三治師匠「初天神
出てくるなり「今日は先に言いたいことを言っておきますよ」と言って、「ええと…なんだっけ。そう。秘密保護法」と。
これ長い話で多分話しているとこの言葉が出てこなくなっちゃうから最初に覚えているうちに言っておきます。いやほんとにそうなんです、近頃。嫌になっちゃう。
と言いながら、確かに長い話。しかもその話があっちに飛んだりこっちに飛んだり。
そして何度も「で、話をもとに戻すと」と戻すんだけど、その飛んだ話がまた面白くて、小三治師匠も「これ私昔からそうなんです。私の悪い癖なんです。話がどんどん飛んじゃうの。でも悪い癖だけど、これが私の長所でもある」と言って笑う。
いやほんとにそうで、だからいつまでも小三治師匠の話を聞いていたくて、こうやって追いかけて行っては聴いているんだよな…。

横浜に来たので横須賀のことを思い出して…自分にとっては横浜のちょっと先が横須賀なんで。
ってすごく分かる。私もそういう感覚。
それでカメラ雑誌で読んだ記事に自分より少し年上のカメラマンが、今の政治家に戦争体験者はいないという文章を書いていた。その中で、そのカメラマンが子どもの頃に東京湾で軍艦とすれ違い 嬉しくて写真に撮って家に帰ると、家に憲兵がやってきて撮ったフィルムを取り上げられた。
そういう時代だった。自分も子供の頃に戦争を体験していてその恐ろしさは身に染み付いている。だけど今の政治家には戦争体験者がいなくて、だからなんですかね…。喉元過ぎれば…ってやつなんですかね。怖いですね。

政治的にどうこうというのではなく、なんか嫌だな、胡散臭いな、怖いな、そういうのをためらいなく話す小三治師匠が好きだ。
ちょっと話が暗くなったところで、ぱっと電気が付いたように「おい、羽織を出してくれ」とおとうさん。初天神だ!

小三治師匠の金坊は生意気を言うけどかわいい。
いい子にしてたからご褒美に何か買ってくれ。いいじゃないか。買ってくれたって。こういう時にご褒美をくれないと後の励みにならないよ。買っておくれよ。だんご。買っておくれよ。だんご。買っておくれよ…。買って…。だんごーーーーー。

またおとうさんが輪をかけてかわいい。
なんだよだんご屋、なんでこんな表に店出してんだ。え?毎日出てます?じゃ今日ぐらい裏に回れ。
なんだよこんなに蜜つけて。わかりそうなもんじゃないか。子どもが食べるんだぞ。これで蜜が着物についたら帰ってかかあに怒られるんだぞ。おれが。

そして凧揚げの楽しそうなこと。
手元で糸を調整するおとうさんの楽しそうなこと。思わず鼻歌も出ちゃう。
風に乗って凧が上がっていく様子が目に浮かんでくる。
幸せな父子の光景。大好きだ。

小三治師匠「禁酒番屋
小さん師匠も実はお酒が好きじゃなかったという話が面白い。
もともと飲んでいなかったのだが、真打に上がる時に師匠に「酒も飲めないで噺家がつとまるか」と言われ、一生懸命飲むようになった。
だけど65を過ぎたらぱったり飲まなくなった。
「師匠、最近酒飲まないですね」と聞いたら、「おう。おれは酒は嫌いだ」。
この会話だけで若い頃の小三治師匠と小さん師匠が浮かんでくる。

あと、自分はお酒の味は好きだけど酔っ払うのが嫌い。
酒が好きな人は飲むと嫌なことを全部忘れられるっていうけど、自分は飲むと嫌なことを全部思い出しちゃう、っていうのも笑った。
そして酔っ払ってる人を観察するのは好きだけど、自分はそうはしたくない。こんな風にしてますけど、少し人と違って見られたい、賢く見られたいっていうのが実はあるんです。
そこでお客さんが大笑いすると「そんなに笑わなくてもいいじゃない」と地声で笑ったのがなんともたまらなく良かった。

禁酒番屋」は今年これで3回目かな。
何回見てもどんどん酔っ払っていく役人がおかしい。
飲んでる姿が本当においしそうでうれしそうで、見てるとお酒が飲みたくなってくる。
小三治師匠が飲めないなんて信じられないなぁ。